HIIT
有酸素・ストレッチ
器具: 自重 / 難易度: 中級
HIITは、全力と休息を繰り返す高強度の有酸素
効く筋肉
選ぶ種目次第で全身の筋肉に及び、下半身種目なら大腿四頭筋と大殿筋、全身を使う種目なら大胸筋や三角筋前部まで動員されます。対照群のある28の試験・723人(平均25歳)のメタ分析(Milanović ら)は、最大酸素摂取量は持久運動でも HIIT でも大きく伸び、伸びは HIIT のほうが大きいと結んでいます。
やり方
Tabata らの自転車の実験(7人・週5日・6週間)は、20秒の全力と10秒の休みを7〜8本で、強度は最大酸素摂取量の約170%。最大酸素摂取量は7 ml/kg/分、無酸素の能力は28%伸びました。自重ならバーピーなど反復しやすい種目で行い、自社アプリを売る THENX の Chris Heria は、初心者は各20〜40秒から始め、疲れても止まらず動きを落とすよう勧めます。
フォームの注意点
冠動脈疾患の患者4846人・計17万5820時間の運動を追った研究(Rognmo ら)では、心停止は中強度で12万9456時間に致死的1件、HIIT で4万6364時間に非致死的2件で、危険は両方とも低いと結ばれました。心臓や血圧に不安がある人は事前に医療者へ相談し、準備運動を済ませ、疲れて形が崩れたら動きを落としてください。
バリエーション・代替種目
過体重・肥満の成人13試験のメタ分析(Wewege ら、平均で週3回・10週間)では、体脂肪量とウエストの減りは HIIT と中強度の持続運動で差がなく、HIIT は運動時間が約40%短く済みました。ランニングの形では大きく減り、エアロバイクの形では意味のある減少がありませんでした。器具ならローイングマシンも使えます。
出典
- 論文・英語 Tabata I ほか(1996) Effects of moderate-intensity endurance and high-intensity intermittent training on anaerobic capacity and VO2max
- 論文・英語 Milanović Z ほか(2015) Effectiveness of High-Intensity Interval Training (HIT) and Continuous Endurance Training for VO2max Improvements: A Systematic Review and Meta-Analysis of Controlled Trials
- 論文・英語 Rognmo Ø ほか(2012) Cardiovascular risk of high- versus moderate-intensity aerobic exercise in coronary heart disease patients
- 論文・英語 Wewege M ほか(2017) The effects of high-intensity interval training vs. moderate-intensity continuous training on body composition in overweight and obese adults: a systematic review and meta-analysis
- 動画・英語 THENX Replace Treadmill With This 10 Min HIIT/CARDIO Workout
解説動画: 全身10種目・7分半のHIITメニュー/ザ・きんにくTV 【The Muscle TV】
概要: ジャンピングジャック、ジャンプスクワット、プッシュアップ、バイシクルクランチ、バーピー、ジャンピングランジ、もも上げ、かかとをお尻に当てるヒールタッチ、最後のプランクまで、全身10種目を7分半で続けて行う高強度メニュー。実演のあとに一種目ずつフォーム解説が入る構成で、自分の体調と体力に合わせて行うよう繰り返し断っている。
着地の衝撃を吸収する: ジャンプ系の種目が多いため、着地の扱いを重視している。ジャンプスクワットは深くしゃがんだ状態から跳び、最後はつま先まで蹴り上げてふくらはぎも同時に使う。着地ではドスンと落ちず、膝と股関節の筋肉でブレーキをかけて衝撃を吸収すると膝や腰の負担が減る。ジャンピングランジも同様に、ブレーキをかけながら左右を入れ替える。
各種目のフォーム: ジャンピングジャックは上半身の力を抜かず、体幹を安定させたままリズムよく跳ぶ。プッシュアップは手を肩幅より広くつき、頭の先から足先までまっすぐ保つ。バイシクルクランチは上体を少し起こしたまま、右肘と左膝、左肘と右膝を交互に素早く合わせる。バーピーは手をついて腕立ての姿勢を作り、足を引き寄せてジャンプへつなげる。
後半の種目と締め: もも上げは膝を90度、太ももが床と平行になるくらいまで上げて連続で行う。ヒールタッチはかかとをお尻へ当てるように走るイメージで、きつくなっても前傾しすぎず体を起こしたまま続ける。最後のプランクは肘をついて頭から足先までまっすぐ。終えてみると筋トレだけでなく心肺機能もかなり使うと締めくくっている。
解説動画(海外・英語): HIIT OR LISS: Which Is Better For FAT LOSS? (What The Science Says)/Jeff Nippard
「アフターバーンでHIITのほうが脂肪が落ちる」は言われるほど大きくない: 低強度の有酸素(LISS)は運動中に脂肪を多く使い、高強度は糖質を多く使う——これ自体は事実だが、重要なのは運動中に何を燃やしたかではなく、24時間で見た収支。そこで近年は「HIITは終わったあとも燃え続ける(EPOC=運動後過剰酸素消費、いわゆるアフターバーン)」を理由にHIIT有利とされてきた。EPOC自体は実在するが、Lyle McDonaldがまとめた2006年の研究では、80分の高強度運動のあとEPOCは7時間続いたが、その増分はおよそ80kcalだった。運動中に消費した700〜800kcalと比べれば小さい。そもそも80分は多すぎるので、現実的な40分なら追加はせいぜい40kcal程度。さらに28研究をまとめた2017年のシステマティックレビューは、EPOCでHIITの脂肪減少が説明できるとは考えにくいと結論している。
時間効率という利点は本物。ただし条件付き: 13研究をまとめた2017年のメタ分析では、体組成のどの指標でもHIITと中強度持続の差は有意でなかった一方、HIITは所要時間がおよそ40%少なかった。ただしこの分析の対象は食事管理をしていない肥満・過体重の被験者で、HIITが食欲を抑えた可能性や、きつい運動をしていると感じることで他の場面でも頑張った可能性が混ざる。健常で肥満でない人を条件をそろえて比べれば、この差は縮むだろう、というのが作者の見立て。実際、30分のインターバルと30分の一定ペースは、平均すれば消費カロリーはだいたい同じになる(高い区間と低い区間で均されるため)。
HIITの本当の弱点は回復。そして順序の問題: HIITは定義上きついのでその分の回復が必要(Eric Helms博士)。ウエイトトレーニングと組み合わせている場合、脂肪を落としつつ筋肉を守りたいのに回復を削ってしまう。しかもウエイトトレーニング自体が「20〜30秒の全力+2〜3分の休憩」の繰り返しで、構造としてHIITとよく似ているので、十分な強度で筋トレをしているならHIITの適応の多くはすでに得られているとも言える。結論として、HIITのほうが脂肪が落ちるという説は現時点の文献では否定的。時間効率でわずかに勝つが、言われるほどの差ではなく、回復のコストが付く。
実際にどう組むか: 「HIITかLISSか」という問い自体が主役ではない、というのがまとめ。脂肪減少の大半は食事から来るべきで、有酸素をその主役にしない(Eric Helms博士)。そのうえで作者の実践は、減量期はHIITとLISSを併用し、HIITは週1〜2回まで。実施するときはトレッドミルの全力走のような衝撃の大きい方法ではなく、バイクやクロストレーナーなど関節への衝撃が少ない機器を選ぶ。さらに脚のトレーニングの翌日にHIITを入れず、1日以上空ける。残りの必要な赤字は食事の調整と、必要に応じたLISSで埋める。HIITの利点として、退屈しにくく続けやすい・食欲を抑えることがあるも挙げているので、最終的には続けられるほうを選ぶ、という結論になっている。