懸垂バー

自重・小物

懸垂バーは、ぶら下がれる場所を一つ作る自宅向けの横棒

用途

体を引き上げるための横棒で、広背筋と上腕二頭筋を自分の体重だけで鍛えられます。自宅にドア枠固定型や突っ張り型を置けば、器具をそろえなくても背中の引く種目を確保できます。握りの違いは、若い成人25人の筋電図ではチンアップ(逆手)が懸垂より大胸筋と上腕二頭筋で高く、筋トレ歴のある男性19人では順手・逆手・ニュートラルなどで全体の活動が似ていました(順手はニュートラルより僧帽筋中部が高め)。

使い方

取り付け型は必ず製品ごとの耐荷重と、体重に勢いが加わったぶんを確認してから使います。順手で肩幅よりやや広く握り、肩をすくめずに引き下げてから、胸をバーへ近づける順番で引き上げます。手幅の標準は上腕を床と平行に上げて前腕が垂直になる幅(ザ・きんにくTV)で、広すぎると肘が横へ開いて肩に向かないと Calisthenicmovement(英語)は説明します。

コツ・注意点

まだ挙がらないうちは、ジャンプで上まで行き3〜5秒かけて下りるネガティブを、Yellow Dude(英語)は勧めています。上級クライマーの小さな研究では、下りる訓練の群(8人)は最大筋力が5.0%増え、対照群(9人)は1.5%減でした。器具の不具合による事故は、自宅がジムや公園の11倍高いと、米国の傷害統計 NEISS を集計した Hughston Clinic は報告しています。説明書どおりに付け、使う前に点検します。

出典

  1. 論文・英語 Youdas JW ほか(2010) Surface electromyographic activation patterns and elbow joint motion during a pull-up, chin-up, or Perfect-Pullup rotational exercise
  2. 論文・英語 Dickie JA ほか(2017) Electromyographic analysis of muscle activation during pull-up variations
  3. 論文・英語 Vigouroux L, Devise M(2024) Pull-Up Performance Is Affected Differently by the Muscle Contraction Regimens Practiced during Training among Climbers
  4. 資料・英語 Carlino L, Evans C(Hughston Clinic) Pull-up Bar Injuries
  5. 動画・英語 Calisthenicmovement The Perfect Pull Up - Do it right!
  6. 動画・英語 Yellow Dude Fix your pull-up form before it fixes you
  7. 動画 ザ・きんにくTV 【The Muscle TV】 【初級〜中級編】誰でも出来る懸垂(チンニング)のやり方(ポイント&注意点)です。

解説動画: 懸垂で広背筋に効かせる握り方と引き方/今古賀翔【トレーニング科学】

概要: 懸垂で背中に負荷を乗せるための握り方・肩の作り方・引く方向を順に解説する動画。握り方や手幅で効く筋肉が変わること、肩関節の外旋と肩甲骨の下制で胸を張った姿勢を作ることを軸に、バーを体に引きつけるのではなく肘を腰にぶつける意識で動作すると背中を使いやすいと説明している。最後に懸垂の重量設定の目安にも触れる。

バーの握り方と手幅: バーは小指側を強く握る。親指と人差し指だけで強く握って小指側が握れていないと肩関節を外旋しにくく、背中に負荷が乗りにくくなる。手幅は肩幅より拳1つ分ほど広めが標準で、これより狭いナローグリップは三角筋後部や僧帽筋へ負荷が逃げやすい。ワイドグリップは広背筋に、逆手のアンダーグリップは上腕二頭筋に負荷が集中すると説明している。

スタート姿勢は肩の外旋と肩甲骨の下制: バーを握ったらまず肩関節を外旋させる。腕を外にひねって肘を内側に入れるような動きで、同時に肩甲骨を下げる。こうすると自然に胸が張れ、この胸を張った状態が懸垂のスタート姿勢になる。胸が張れていないと広背筋を使いづらく、肩を上げたまま腕を上下しても背中に力は入らない。動作中も肩を下げて下方回旋させたまま行う。

肘を腰にぶつける意識で引く: 広背筋は上腕骨から胸椎・腰椎にかけて付いているため、バーを体に引きつけるのではなく上腕骨または肘を腰にぶつけるような意識で動作すると背中をより使える。動作はまっすぐ上がってまっすぐ下ろす。軌道がまっすぐでなかったり足の勢いを使ったりすると負荷が抜けてしまうので、基本的にやめる。

重量設定の目安: 懸垂の重量設定は基本的にベンチプレスと同じ重量を目標にする。体重80kgでベンチプレス100kgが5回挙がるなら、20kg加重して総重量100kgで5回の懸垂ができる状態を目指すという考え方。大胸筋など前側が強すぎると肩が前に出て猫背の原因になるため、背中も鍛えて頬骨と鎖骨が垂直線上に並ぶ姿勢を保てるよう筋力のバランスを整えるとよい。