進み具合を見えるところに置く
一日の組み立て
どこまで進んだかを、こまめに確かめられる形にする
どんな技?
何をどこまで済ませたかを、あとから目に入る形に残します。壁の暦に済んだ日を塗る、章ごとの一覧に印を付ける、週末に進みを人へ伝える、どれも同じ型です。頭の中で振り返るだけで終えず、紙か画面に残すところまでやります。残す単位は日か章くらいの粗さで足り、細かい作業記録にする必要はありません。始める前に数える対象を決めておきます。
なぜ効くのか
目標に近づいているかを確かめる回数が増えると、行動が目標の側へ寄りやすくなります。現在地と目標の差を見る作業がメタ認知で、記録に残せば見るたびにその差が目に入ります。人から見える形にした条件では差がとくに大きかったと報告されていますが、達成の側の効き目は中くらいで、記録が結果を保証するわけではありません。
やり方
記録する単位を先に決めます。章・問題数・分数のどれか一つで、毎回同じものを数えます。済んだらその日のうちに印を付け、週に1回は全体を見て残りの量を確かめます。紙に書いて残す形と人に報告する形は、メタ分析で効果が大きかった側です。数字を増やすこと自体が目的にならないよう、単位は粗いままにします。数え方を途中で変えると、前と比べられなくなります。
はまりどころ
進みを見て思ったより進んでいないと分かると、やめる判断につながることもあります。記録の見た目を整える作業に時間が流れるのもよくある失敗で、そこはノートを美しく作ると同じ落とし穴です。裏づけの中心は減量や禁煙などの健康の目標で、勉強に同じ大きさの差が出るとは書けません。かかった時間を記録するは見積りの材料で、目的が違います。
確かめられ方
Harkin らが2016年にまとめたメタ分析は、138研究・19,951人を集め、進捗の確認を促す働きかけが確認の回数と目標の達成をどちらも高めたと報告しています(d+=1.98 と d+=0.40)。効果が大きかったのは人に報告する条件と紙などに書いて残す条件で、集められた目標は健康の分野が中心でした。勉強で同じ差が出るかは分かっておらず、d+=0.40 は中くらいの大きさです。
解説動画(海外・英語): How to motivate yourself to change your behavior | Tali Sharot | TEDxCambridge/TEDx Talks
脅しては動かない: 「太るぞ」「たばこで死ぬぞ」と怖がらせて自分や相手を変えようとする——動画はまずこのやり方が行動をほとんど動かさないと述べます。たばこの箱の画像を見ても喫煙はやまず、ある研究では見たあとにやめる優先順位のほうが下がったといいます。怖い知らせを受けると人は身をすくめるか、自分は大丈夫だという理屈で打ち消す側へ回るからです。
良い知らせほど入る: 相場が高いときは口座を何度も見に行くのに、下がると見なくなる。株価と閲覧回数を重ねた図がそれを示します。100人ほどに悪い出来事の起こりやすさを見積もらせ、高く見る専門家と低く見る専門家の意見を渡した実験でも、人は望ましいほうへ考えを寄せました。10歳から80歳まで同じ傾向でした。
手洗いの掲示板: 病院にカメラを置いて調べると、設置を知らされていた職員でも、患者の部屋を出入りする前後に手を洗っていたのは10人に1人だけでした。そこで、洗うたびに数字が上がり今の勤務帯と週のスタッフ全体の割合が出る電子掲示板を入れます。すると守った割合は9割まで上がり、別の部署で試したときも同じ結果だったと動画は述べます。
効いた三つの理屈: 掲示板が効いた理由を三つに分けます。周りが何をしているかが見えること——督促状に「10人中9人は期限内に納めている」の一文を足したら納付が15%増えた例が引かれます。次にその場で返る手応え、そして進み具合を見張ること。掲示板は職員の注意を成績を上げるほうへ向けたと述べます。自分の現在地を確かめる側の働き(メタ認知)です。
減りでなく進み: 最後に、冷蔵庫へ貼られた電気の請求書が出てきます。近所の平均と自分といちばん少ない家が並び、にこにこ顔が付き、一年のうつり変わりも見える作りでした。話し手はここから自分で握っている感じを受け取ったと言い、人を動かしたいなら減りではなく進みのほうを見せると結びます。