今ある行動の後につなぐ

一日の組み立て

新しい習慣は、毎日欠かさずやっている行動の直後に置く

どんな技?

新しくやりたいことを、毎日欠かさずやっている行動の直後に置きます。歯みがきのあと、朝のお茶を注いだあと、電車で座ったあと、といった置き方です。先に来る行動がほぼ例外なく起きるかどうかが分かれ目になります。時刻ではなく行動を合図にするので、生活が前後にずれても崩れにくく、休みの日でも同じ形で回せます。先に来る行動が無い日は、その日は無しと決めておきます。

なぜ効くのか

毎日起きている行動は、それ自体が考えずに回るところまで来ています。その終わりを合図に使えば、思い出そうと構える手間が要りません。実行意図と同じ形で、合図の取り方だけが違います。前ではなく後ろに置くと差が出た報告があり、手がかりが先に来る形になるからだと説明されていますが、そのしくみは確かめられていません。

やり方

先に来る行動を一つ選びます。毎日やっていて終わりがはっきりするものが向きます。次に、これを終えたらあれをする、と一文で書き、最初の2週間は毎回できたかだけを見ます。始める量は5分まで落とし、合図と行動のつながりだけを作ります。つながる前に量を増やすと、合図ごと飛ばすようになりがちです。記録は手帳の端に印を一つ付けるだけで足ります。

はまりどころ

裏づけは健康行動を調べた探索的な研究が中心で、勉強で同じように習慣になるかは確かめられていません。後ろにつなぐと差が出たという結果も1本の報告で、独立した再現は見つかりません。先に来る行動が休みの日に無ければ、そこで連鎖が切れます。日数で数える見方は21日で習慣になるで正していて、期間の目安は習慣になるまでを長く見込むにあります。

確かめられ方

Judah らが2013年に報告した調査では、歯みがきの前にフロスを置く群より、後ろに置いた群のほうが実行率も習慣の強さも高くなりました。合図を先に決めておくこと自体の裏づけは、実行意図のメタ分析(Gollwitzer と Sheeran 2006)と重なります。ただし対象は歯の手入れという一つの行動で、後ろが効くという結果は、ほかの研究室で確かめ直されてはいません。

解説動画(海外・英語): Habit Stacking - Build the Perfect Routine, Change Habits Effectively, and Improve at Anything!/Upgraded Mentality

後ろにくっつける: 動画はまず、習慣とはよくやる動きを脳が自動化して手間を省いた形だと述べます。だから変えようとすると自分の作った省エネと押し合いになる、と置いたうえで挙げるのが、新しくやりたいことをすでに習慣になっている行動の後ろにくっつけるやり方です。この行動の後にこれをやる、と一文にするだけの形だと紹介します。

つないで並べる: 例として、コーヒーを飲んだら歯をみがく、車のエンジンをかけたらシートベルトを締める、仕事着を脱いだら走る服に着替える、が挙がります。古くからやっていて体になじんだ行動に乗せるので、脳が受け入れやすいという説明です。慣れたら一つの合図から数珠つなぎにでき、注いだコーヒーから20分の読書、10分の瞑想、朝食へと並べる例を示します。

途中に差し込む: 後ろに足すだけでなく、すでにある流れの間に差し込む使い方も出てきます。起きる、シャワー、着替えという並びに水を一杯入れて、起きたらまず飲む形へ組み替える例です。ただしこちらは足すより難しいと言い添えます。自動化された流れにそのまま乗ってシャワーへ行ってしまうので、一度止める手間が要るからです。

合図に選ぶ行動: いちばん外してはいけないのが合図の選び方だと述べます。起床、歯みがき、入浴、三度の食事、就寝といった毎日欠かさず起きる行動が向いていて、そこへ組めば毎日の出番を確保しやすい形になります。反対に運動を合図にするのは勧めません。週に一度は休む日があるので、合図の来ない日ができてしまうからです。

悪い癖の入れ替え: 最後に、やめたい癖の入れ替えにも使えると述べます。食後と退勤時に吸っていた煙草を、同じ合図のままガムに替える例です。選ぶのは口を使う点が近く、同時にはできないもので、煙草を置いていた場所にガムを移す手も添えます(先に環境を変えておく)。合図はそのままに、後ろの行動だけを差し替える技だと結びます。