先に環境を変えておく

一日の組み立て

我慢で乗り切らず、誘惑に会わない場を先に作る

どんな技?

我慢で押し切るのをやめ、誘惑に出会わない場を先に作っておきます。作業に入る前に、机の上を今使うものだけにし、開く資料を出し、飲み物を置きます。始めてから探すものが残っていると、そこで席を立つ理由ができます。手を動かすのは2、3分で、始める前という時点のほうが肝心です。抑える練習ではなく、抑えずに済む形を用意する側の技です。

なぜ効くのか

自制の方策を整理した枠組みでは、場面に手を入れるやり方のほうが、その場で欲を抑えるやり方より見込みがあると論じられています。視界に残った誘惑は、そのたびに抑える作業を呼びます。抑え込みは認知負荷を上げ、進めたい作業と取り合いになります。ただしこれは枠組みとしての整理で、我慢との直接比較が積み上がってはいません。

やり方

前の晩か、始める5分前に場を作ります。机に出すのは今の作業のものだけにし、残りは引き出しか別の机へ移します。次に開くページを開いた状態で置き、最初の一手が決まっている形にします。手を伸ばせば届く位置の邪魔を減らすのが要点で、触れにくくする手当ては戻りにくくするも同じ向きです。前の晩に済ませておくと、朝は迷わず座れます。

はまりどころ

場を整える作業が長引くと、それ自体が始めない理由になります。5分で切り上げる線を引きます。土台になっているのは枠組みの総説で、我慢するやり方より効くと直接比べた研究が積み上がっているわけではありません。意志の力は使うと減るという説は再現に失敗した報告が続いており、この技の説明には使えません。機器の置き場はスマホを別の部屋に置くが扱います。

確かめられ方

Duckworth らが2016年に出した総説は、自制の方策を場面選択・場面修正・注意・考え方・反応の5系統に整理し、場面に手を入れる側のほうが見込みがあると論じています。ただしこれは枠組みの整理であって、効き目の大きさを数で示したメタ分析ではありません。我慢するやり方と直接比べた検証の積み上げは、この総説の時点では見つかりません。