作業に分けて数える

見積り

ひと塊で見積らず、工程に割ってから足し上げる

どんな技?

ひと塊で「たぶん3時間」と出す代わりに、工程に割ってから足し上げます。章を読むなら、下読み・本文・書き出し・見直しのように手を動かす単位まで下ろし、それぞれに時間を置いて合計します。割る数は5つから10くらいで足ります。合計が最初の勘より伸びたなら、それがこの技の効いている形です。伸びないときは割り方が粗いと見ます。

なぜ効くのか

ひと塊のまま見積ると、思い出しやすい主作業だけが数に入り、間にはさまる細かい手間や待ち時間が落ちます。工程に名前を付けると、落ちていた手間が目に見える形で数に上がります。順番を裏返す終わりから逆に組むも、同じく数え落ちを拾う狙いの手です。ただし数が伸びても足りない側に寄ったままなので、実際に近づくだけと見ておきます。

やり方

紙に工程を上から順に縦に並べ、それぞれへ15分単位で時間を書きます。合計を出したら、最初に頭に浮かんだ数と横に並べてどこが落ちていたかを見ます。細かくしすぎると数える手間のほうが勝つので、一行が15分を下回るあたりで止めます。幅で持ちたいときは幅で見積もるへ、過去の実績があるなら似た仕事の実績から見積るへ渡します。

はまりどころ

分けて数えてもなお足りない結果が普通で、正確になるとまでは言えません。分解しすぎると細部にとらわれるという逆向きの報告もあり、どこまで割るとよいのかは決まっていません。工程の名前は仕事ごとに違うので、決まった型を当てはめると落ちる手間が別の場所に移ります。効いたと確かめられているのは予測が伸びるところまでです。

確かめられ方

Kruger と Evans が2004年に行った実験では、作業を分解させると予測時間が長くなり甘さが減りました。別の研究グループの Forsyth と Burt も2008年に、課題の分割と見積りの甘さを調べています。ただし材料は実験で与えた短い課題が中心で、分解しても甘さが消えるわけではなく効果は限定的でした。

解説動画(海外・英語): Conquering procrastination: unpacking tasks/Presenting Psychology

最悪の線すら超える: 動画はまず、学生は学業の課題にかかる時間を短く見積もる傾向が研究で繰り返し示されている、と置きます。1994年の Buehler らの研究では、卒業論文が仕上がるまでを、いちばんありそうな線・すべてうまく運んだ場合・すべて悪く転んだ場合という幅で見積もる形で答えさせました。実際にかかった時間は、悪いほうの見積りさえ超えていました。

塊のまま答える: 見積りが当てにくい理由として動画が挙げるのは、仕事を下位の小さな作業に割っていないことです。心理学ではこの割る手続きをアンパッキング(開いて並べること)と呼ぶ、と紹介されます。理由の説明はここまでで、割る前と割った後で見え方がどう変わるかを、身近な課題の例で見せる側へ進みます。

一行のレポート: 例に出るのはレポートです。やることの一覧に「レポートを書く」と一行だけ書いてあれば、二日あれば足りそうに見えます。ところが同じ一覧を、実際に必要な作業を全部並べた形に書き直すと、二日はもう余裕のある時間には見えなくなります。動画はこれがアンパッキングの働いている姿だと言います。

割るのが先か後か: 2004年の Kruger と Evans の実験では、見積りを出す前に作業を割った人と、出したあとで割った人に分けました。予測が実際に近かったのは先に割ってから答えた側でした。動画は、次に課題の段取りを立てるときは作業を構成要素へ分けてから見積もるように、と結びます。