先の暇を当てにしない

見積り

来月は空いて見えるが、実際は今と同じだけ埋まる

どんな技?

来月の依頼を引き受ける前に、今週の埋まり方を来月へ写すという手順をひとつ挟みます。予定表で今週に実際に入っていた時間を数え、同じ量を来月の同じ曜日にいったん置きます。そのうえで残った空きだけを見て、引き受けるかどうかを決めます。先の週が白いままの画面で返事をしないための、置き換えの作業です。予定を減らす技ではなく、空きの数え方を変えるだけの技です。

なぜ効くのか

先の予定はまだ何も入っていないので、画面の上ではどうしても空いて見えます。実験で見えているのは将来の時間はお金より余ると見込まれやすいというずれで、そのために先の約束を安請け合いしやすくなると説明されています。今週の実績を写すのは、その見込みを手元にある実測で置き換える操作です。かかった時間を記録するが続いていると、写す材料が増えます。

やり方

月に一度、15分ほどで見直します。まず直近2週間の予定表を開き、実際に埋まっていた時間を曜日ごとに数えます。次に同じ量を先の月へ置き、残りを空きとして数えます。引き受けの返事は、その空きの中だけで決めます。見込みを何割増しにするといった補正はここでは足しません。ずれの直し方は測られていないので、実測を写す以上のことはしないほうが正直です。

はまりどころ

確かめられているのは見込みのずれがあるところまでで、写す作業に効き目があるかは分かっていません。先の予定を減らせば片づくとも限らず、今の埋まり方そのものが多すぎるなら掛け持ちを減らすの出番です。断ることが難しい立場では、この手順は空回りします。一件ごとの読みの粗さは似た仕事の実績から見積るで別に直します。安請け合いを意志の弱さとして読まないほうが、次の手が見えます。

確かめられ方

Zauberman と Lynch 2005 の一連の実験では、将来はお金よりも時間のほうが余ると見込まれやすく、そのために先の予定を安請け合いしやすいという結果が出ています。示されたのは見込みのずれの存在までで、材料は仮に置いた場面についての見込みです。ずれを直す手立てを対照群と比べた検証は見つかりませんので、手順の側は理屈の話にとどまります。

解説動画: なぜ人は、忙しい日ほど捗り、暇な日ほど何もできないのか【行動経済学×認知心理学】/思索中毒

暇な日の空振り: 動画は、忙しい日ほど片づき、空いた日ほど何も残らないという食い違いから入ります。予定の詰まった日は30分の隙間で面倒な用を終えられたのに、まる一日空いた日は気づけば夕方で手つかず。同じ週の同じ人なのだから、意志の強さが日替わりで十倍も変わるとは考えにくいと述べます。

空白そのものが重い: 1930年代、工場が閉じて時間だけが増えた村の調査では、無料の図書館の貸し出しが半分近くまで減り、通りを歩く速さも落ちていました。何もない部屋で15分考えるだけの実験でも、男性の3人に2人が、避けたいと答えていたはずの電気刺激を自分に流しました。空白はそれ自体がこたえるものだと述べます。

先の時間の見え方: 卒業論文にあと何日かを尋ねた1994年の調査では、見込みが平均33.9日、実際は55.5日で、最悪の場合として出させた日数さえ平均で超えました。2005年の実験群はさらに、来月お金が増えるとは思わないのに、時間だけは増えると思ってしまうずれを示したと述べます。

始めた分だけ残る: ベルリンの大学での実験では、途中で止めさせた課題は最後までやり終えた課題より2倍ほどよく思い出されました。動画はここから、始めた仕事は頭の中で自分を主張し続けるのに対し、始めていない用事は黙ったままだと言います。だからいつでもできることほど始まらないまま残ります。

白いまま眺めない: 締切の実験では、自分で締切を刻む側に回って罰まで引き受けた人たちが、最後にまとめて出す自由な組を上回りました。そこで動画は、次に来る空白の日へ動かせない用事を一つだけ先に置くよう勧めます。空白を全部埋めろという話ではないとも断り、休みや退屈にも要る時間だと結びます。