楽しみと抱き合わせる

先延ばし

気の重い作業のときだけ、好きなものを一緒に許す

どんな技?

好きなものを、気の重い作業のときだけに限って許します。続きが気になる音声や配信をひとつ選び、その作業をしている時間だけ再生してよいと決めます。作業が終わったら止め、ふだんの時間には触らないところまで含めて一組にします。組み合わせる相手は、耳や目を取られても手が進む作業に限ります。楽しみを増やす技ではなく、出す場所を絞る技です。

なぜ効くのか

気の重い作業そのものは変わりませんが、その時間だけ手に入る楽しみが乗ることで、始める側に少し傾きます。ふだんは禁じておくのは、作業と結びつけた分の差を作るためです。試験で増えていたのは仕掛けが動いているあいだで、やめたあとまで残るかは別に見る必要があります。学ぶ場面では、楽しみの側が理解の邪魔をしない組み合わせだけが残ります。

やり方

まず耳や目を取られても進む作業を選びます。手を動かす作業や単純な整理は向いていて、読解や文章を書く時間には向きません。次に楽しみをひとつ決め、その作業以外では触らないと置きます。置き場所を分けて先に環境を変えておく形にすると守りやすくなります。効き目が続く保証はないので、2週間ごとに組み替える日を決めておきます。

はまりどころ

確かめられているのはジム通いという行動で、勉強や読書が同じように増えるとは言えません。大規模な比較試験では、介入中に来館が増えた働きかけは多かったのに、終わったあとまで変化が残った例は少数でした。音や映像を流したまま学ぶ形になるならながら勉強をやめると衝突します。歌詞つきの音は歌詞つき音楽を切るの条件に当たります。

確かめられ方

Milkman ら 2014 は、ジムでだけ聴けるオーディオブックを渡す実地実験で来館が増えたと報告しました。Milkman ら 2021 は61,293人・54種の働きかけを4週間そろえて比べ、45%で来館が9〜27%増えています。ただし介入が終わったあとまで測れる変化を残したのは全体の8%で、続く効き目は薄いという結果でした。

解説動画(海外・英語): Professor Katherine Milkman on Temptation Bundling/Katherine Milkman

やりたいとやるべき: 動画はまず、働きすぎで運動が足りず、それでいて軽い小説を読む時間には罪悪感があるという架空の人物を置きます。この二つを一度に片づける手として出すのが抱き合わせで、小説はジムにいるあいだだけ読んでよいと決める形です。やりたいこととやるべきことのぶつかり合いは、飲みに行くか勉強するかなど生活のあちこちにあると述べます。

場面を一つに絞る: ほかの例も並びます。好きな店の食事はもっと会うべき親戚と一緒のときだけにする、判例を読むあいだだけ足の手入れをする、図書館へ向かうときだけ好きな一杯を買う。楽しみを増やすのではなく、触れてよい場面を一つに絞るところが共通しています。会う機会が増え、外食は減るという二つ取りの形です。

ジムで確かめる: 確かめるために、ジムの会員およそ200人を無作為に二つに分けた9週間の試験を行ったと述べます。片方には先が気になる朗読を入れた再生機を貸し、ジムの見張り付きロッカーに置いたままにしました。続きを聴くには通うしかない形です。もう片方には同じ額の書店の商品券を渡し、通う回数を比べています。

増えたが戻った: 最初の7週間は、抱き合わせた側の通う回数が5割多く、2週間に1回ぶんの上乗せでした。ところが感謝祭の休みで参加者が帰省し、戻ってきたときには差が消えていました。動画はこれを、離れたあいだに続きへの飢えが薄れたからだと読み、間が空いた後にどう連れ戻すかは残った宿題だと述べます。

縛りにお金を払う: 終わりに、この再生機を自分から取り上げて鍵をかけてほしいなら払うかを聞くと61%が払うと答えたと明かします。自由に使える持ち物をわざわざ使えなくしてもらうために払うわけで、お金や約束で自分を縛ると同じ向きです。増えたのはジムに通う回数で、休みを挟むと消えた——そこまで含めて見る技になります。