先延ばした自分を許す
先延ばし
やらなかった自分を責め続けると、次もまた避けたくなる
どんな技?
やらなかった日を思い返すとき、できなかった事実だけを書いて責める言葉を足さないようにします。「準備が遅れた、明日の朝に30分やる」で止めて、自分の性格を採点する文にしないのが手の形です。書く場所は手帳でも独り言でもよく、反省文のように長く書かないほうが翌日に響きません。気分を消すのではなく、責める言葉だけを抜きます。
なぜ効くのか
自分を強く責めると、その作業を思い出すだけで嫌な気分が一緒に戻ってくると説明されています。先延ばしを気分の問題として見るの筋でいえば、避けたい理由がもうひとつ増えることになります。責める言葉を切るのは、作業と嫌さの結びつきを太らせないための操作という筋書きです。ここまではしくみの側の話で、効き目が測られた範囲とは分けて読む必要があります。
やり方
先延ばした直後に、1分で三つだけ書きます。何を後回しにしたか、そのとき何が嫌だったか、次はいつどこで手をつけるか。三つめは実行意図の形にして、日時と場所まで入れます。書き終えたらその日はもう振り返らないと決めます。性格を評価する言葉が混じったら、その行ごと消して事実の側に戻します。翌朝に読み返し、動かせる予定になっているか確かめます。
はまりどころ
出どころは学生を対象にした相関の研究1本で、許せば先延ばしが減るという因果までは言えません。許すことを心の手当てのように扱わないほうがよく、責めない練習が先延ばしを正当化する言い方に変われば逆向きに働きます。対照群とランダム化を置いた検証がないので、効き目の大きさも分かりません。強い自責が長く続くなら専門家に相談する範囲です。
確かめられ方
Wohl ら 2010 では、大学1年生およそ120人を対象に、1回目の中間試験での先延ばしを自分に許せた学生ほど2回目の先延ばしが少なかったという結果が出ています。測っているのは自己申告の尺度で、期間は試験2回のあいだです。許す働きかけを対照群と比べた実験ではなく、そういう関係が見えたところまでの縦断の研究です。
解説動画(海外・英語): 5 Ways to Beat Procrastination - Science Approved/Noteworthy*
選び方の断り: 動画は先延ばしの手当てを五つ並べますが、載せる条件として査読を通った実験で確かめられていることを先に断ります。よく挙がるポモドーロは、良し悪しの前に直接調べた研究がほとんど無いとして外しました。並びは5位から1位へ、症状を抑える手から原因に届く手の順に下ります。
先延ばしの正体: 1位を分かるには、先延ばしが何なのかを言い直す必要があると述べます。2013年に示された見方は、先延ばしを気分の問題として見る立場です。課題が退屈さや重さや失敗の怖さを連れてくるので、後回しにすると嫌な感じがその場で消える。ただし、それが効くのは5分ほどだと言います。
自責が燃料になる: 厄介なのはそのあとで、先延ばした自分を責めると、その後ろめたさも嫌な感じになります。課題に恥が抱き合わせで付き、翌日はいっそう近寄りがたくなります。動画はこの渦を罰が次の先延ばしを養う形と言い表し、やることの一覧では消せないのは相手が段取りではなく気分だからだと述べます。
二度の試験で見る: 2010年にカナダの大学で行われた調査では、119人の学生を二度の中間試験にまたいで追いました。一度目の前はほぼ全員が先延ばしていて、そのうち自分を本当に許せた学生は、二度目の前の先延ばしがはっきり少なくなっていました。自分を責め続けた側は先延ばしたままだったと述べます。
言い方を替える: やり方は、次に後回しに気づいたとき、いつもの説教をやめることだけだと言います。先延ばした、よくあること、人柄の話ではないと言い直し、そのまま課題へ一歩だけ戻る。ほかの四つが症状の側を抑えるのに対し、これは渦の燃料を断つ側にあたる、甘やかしではない手当てだと結びます。