五分だけ手をつける
先延ばし
終えることを目標にせず、始めることだけを目標にする
どんな技?
終わらせることを目標から外して、始めることだけを目標に置きます。タイマーを5分にして、教科書を開いて1行読む、白紙に日付と見出しを書く、といった形の決まった一歩から入ります。5分たったら続けても止めてもよく、続いたかどうかで自分を採点しないところまでを一組にします。決めるのは長さではなく、最初の一行の中身です。
なぜ効くのか
先延ばしの強い予測因子のひとつに作業の嫌悪感が挙がっていて、その嫌さは手をつける前に強く出ると説明されています。始めることだけを目標にすると、手前の判断がやるかやらないかから1行だけ開くかに変わります。いつどこで何をするかを先に決めておく実行意図と同じ形です。始めれば勢いがつくという説明のほうは、確かめられていません。
やり方
前の晩に、翌日最初に触る一行を決めておきます。当日はタイマーを5分に置き、決めた一行だけをやります。鳴ったら続けるか止めるかを選び、止めた日も失敗として数えないようにします。止めるときは次に触る場所をしおりを残すの形で残します。まとまった時間が取れる日は、この入り方ではなくまとまった時間を確保する側に寄せます。
はまりどころ
5分で止めるのを繰り返すと、考えを積み上げる作業では毎回入口に戻ることになります。始めれば続くという言い方は、そう確かめられた話ではないので使えません。締切が迫っている場面でもこの入り方は弱く、そこは終わりから逆に組むほうが手が出ます。手をつけた日数を数えてできた回数で自分を採点すると、元の自責に戻ります。
確かめられ方
「5分だけ」「1ページだけ」という決め方を単独で対照群と比べたまとまった研究は見つかりません。近いところで確かめられているのは、着手の場面を先に決めておく実行意図の研究(Gollwitzer と Sheeran 2006)と、作業の嫌悪感が先延ばしの強い予測因子のひとつだというメタ分析(Steel 2007)です。どちらも5分という枠を試したものではなく、そこは埋まっていません。