具体的で難しい目標にする

決め方

「がんばる」ではなく数と期限の入った、少し難しい形にする

どんな技?

「がんばる」を数と期限の入った形に置き換えます。「今週は過去問を40問解く」のように、達成したかを後で判定できる文にします。楽に届く水準ではなく、少し届きにくいところに置くのがこの技の中身です。決める対象は合否のような成果ではなく、自分が動かせる量にします。週の終わりに届いたかどうかを見て、次の週の数を上げるか下げるかを決めます。

なぜ効くのか

数と期限が入ると、どこまでやれば終わりかが自分に見えます。「最善を尽くす」型の目標には終わりの線が無く、どこで手を止めても格好がつきます。難しい目標のほうが投じる労力と粘りが増えるという整理は、何十年ぶんの研究に支えられています。ただし測られているのは職場の作業成績と健康行動が中心で、複雑な課題では効果が小さいという報告もあります。

やり方

期間を1週間に区切り、数えられる単位で量を決めます。単位は問題数やページ数のように、その日に数え終わるものにします。中間の日を手前に置く自分で締切を刻むを足すと、週の後半に寄っているのを見つけやすくなります。届いた数はその場で書き留め、進み具合を見えるところに置くと組にします。届かなかった週は2割ほど下げ、余った週は上げて、届くか届かないかの境目に置き直します。

はまりどころ

数字を決めると、数えられるものだけに寄る副作用が報告されています。問題数を追って解説を読まなくなる、といった崩れ方です。目標を強く掲げるほどごまかしや手抜きが起きうるという指摘もあります。楽なほうへ流れる崩れは軽い仕事を先に選ぶ癖に備えるの側にも出るので、数の外にある中身は別に見ます。SMART という語呂は研究から出た枠組みではありません。

確かめられ方

Locke らが1981年に総括して以降、具体的で難しい目標は「最善を尽くす」より成績が高いという報告が積まれてきました。Epton らの2017年のメタ分析は141本・16,523人を集めています。効果量はd=0.34と小さめで、大きく出たのは難しい目標や人前で決めた目標のときでした。測られたのは職場の成績と健康行動が中心で、Ordóñez らは2009年に視野が狭まる副作用を挙げています。

解説動画: ロックの目標設定理論/Optometry Club

目標が動機を決める: 動画は、ロックが1990年にまとめた目標設定理論を、期待理論と並ぶ動機づけの統合モデルとして紹介します。具体的で挑戦的な成果目標を置き、その目標を引き受けることが動機づけを左右する、という立場です。目標は望ましい未来を描き、行動を促し、達成すればその人の成績をさらに押し上げると説明されます。

具体・難度・受容: 目標は具体性・難易度・受容性の三つで見分けられると整理されます。具体的な目標は測れるので、「最善を尽くす」のような一般的な言い方より高い成績につながります。難しくとも現実的な目標は、簡単すぎる目標や非現実的なほど困難な目標よりも動機を高める。具体で測れる形にすれば自分が望むものへ的が絞られるとも付け加えられます。

半年で受かる例: 例として挙がるのは、6か月以内にドイツ語の中級の語学試験に合格すると決める場合です。この目標は具体的で十分に難しく、ドイツで働きたいという理由があるぶん本人にとって重い。だから目標を引き受ける度合いが高くなり、学ぶ動機と試験に向かう動機が上がる、という流れで説明されます。

引き受けと手応え: 動画は、引き受けていない目標は具体的で挑戦的でも努力に結びつかないと釘を刺します。手立てとして挙がるのは、目標を決める過程に本人が加わること、報酬、達成についての手応えを返すことです。結果を知ることが欠かせないので目標は数えられる形にする、という筋で進み具合を見えるところに置く側につながります。

圧は逆に働く: 最後に、達成への圧をかけるのは不正直さや見せかけの成績を招くので益にならないと述べ、励ましや材料や支えを用意する側を勧めます。目標設定はスポーツ心理学や職場の目標管理にも組み込まれ、単純な動機づけの手立てとして広がってきた——数と期限を入れて少し難しく置くこの技の土台がここです。