実行意図
決め方
「いつ・どこで・何をするか」を場面ごとに先に決めておく
どんな技?
「やる気が出たらやる」をやめ、いつ・どこで・何をするかを一組にして先に書いておきます。「夕食の皿を片づけたら、机で単語帳を10分開く」のような形で、if-then 型とも呼ばれます。決めるのは意志の強さではなく、きっかけと動作の組のほうです。紙に一行書けば終わる手当てなので、道具も要りません。場面が来たときに何をするかが決まっているぶん、その場で迷う時間が減ります。
なぜ効くのか
目標だけを持っているときは、行動に移る場面で何をするかを毎回決め直します。きっかけを先に指定しておくと、その場面が来たときに予定が向こうから思い出される形になります。決めた動作をくり返すうちに、自動化の側へ寄っていく面もあります。ただし効果が大きく出ているのは健康行動と短期の実験課題で、学びの成績はまだ別の話です。
やり方
紙かメモに「○○したら、△△する」という一文を書きます。きっかけは時刻よりもすでにある行動に置くほうが決めやすく、その置き方は今ある行動の後につなぐの側で扱っています。動作は10分で終わる大きさに刻み、その場で迷う余地の無い書き方にします。数は1つか2つにとどめ、動けなかった場面が続くときは、意志ではなくきっかけの側を書き換えます。
はまりどころ
きっかけが曖昧なままだと何も起きません。「時間があったら」は場面を指していないので、この技の形になっていません。一行書いても周りの邪魔は消えないため、先に環境を変えておくと組にします。ひとつの場面に動作をいくつも割り当てるとどれも出てこなくなるので、場面ごとに一つだけ置きます。21日で習慣になるのような日数の話は、この技の裏づけとは別です。
確かめられ方
Gollwitzer と Sheeran が2006年にまとめたメタ分析は、94件の独立検定・約8,000人でd=0.65と報告しています。Chen らの2015年の展望記憶のメタ分析も向きは同じですが、扱われているのは健康行動と短期の実験課題が中心です。出版バイアスの指摘があり、食事や運動に絞ったメタ分析では効果はもっと小さく、学習の成績を調べた検証は少ないままです。
解説動画(海外・英語): Stop procrastinating by using implementation intentions/Presenting Psychology
先延ばしの正体: 動画はまず、学びがうまくいくかを左右するものとして自分の行動を計画し、実行し、効いているか見張って直す力を挙げます。先延ばしはその力が働かない典型だと述べ、見張って直す側に手を入れれば後回しの癖も減らせるはずだ、という筋道を立てます。前回の動画で扱った作業を部品に分ける手当てに続く、二つ目の手当てとして紹介されます。
目標だけを見る: 本気で課題を始めようと思っても動けないのは、達成したい目標のほうばかりを見て、その手前の手順をいつどうやるかがぼんやりしたままだからだと説明されます。目標は具体的なのに段取りは曖昧、というこの組み合わせが、先延ばしの入り込む扉を開けたままにすると語られます。動画はこれを、思いが行動に変わらないときの典型の形だとしています。
もしこうならこうする: 実行意図は目標だけの意図と違って、どうやって・いつその行動をとるのかまで言い切る形をとります。部品は二つあり、もしの側が動作を促す場面の合図、そのあとの側がその場面でとる動作にあたります。動画が挙げた例は「木曜の午後5時になったら、1時間をレポートの下書きに使う」という一文でした。
二つの効きかた: しくみは二つ挙がります。ひとつは合図の側で、場面を先に名指ししておくとその場面に出くわしたとき気づいて反応しやすくなること。もうひとつは結びつきの側で、合図と動作の組が強まり動作が自動化へ寄ることです。気が進まない作業や邪魔が入った場面ほど、迷う時間が減るぶん効くと述べます。
試してみる価値: こんな簡単なもので、と疑う人もいるはずだと動画は先回りし、およそ30年ぶんの研究が、やろうと思うことと実際に手をつけることのあいだの隔たりを縮める側を支えてきたと述べます。手間はほとんどかからないので、次に勉強の目標を立てるときにもし〜ならこうするの形で書いてみてほしい、と結びます。