掛け持ちを減らす

決め方

同時に抱える目標の数を、ぶつからない数まで落とす

どんな技?

いま抱えている目標を全部書き出し、同じ時間帯を取り合うものに印をつけます。資格の勉強と副業と読書が同じ夜を取り合っている、といった形です。印のついた組は片方を棚に上げるか、着手する時期をずらします。数を落とすかわりに手をつける順番を決めるだけでも、ぶつかりは減ります。減らす前に、まずどこがぶつかっているかを見る作業です。

なぜ効くのか

目標同士がぶつかっている人は進みが遅く、気分の面でも良くないという関係が報告されています。ただしこれは観察された相関で、減らせば進むと示した実験ではありません。複数の目標へ労力を配る過程は研究されていて、片方に入れた分が他方から抜ける構図は説明されています。数そのものが重荷になるとも言えますが、認知負荷の研究が扱うのは教材の作り方で、目標の数はそこに入りません。

やり方

紙に目標を全部書き、今月手をつけるものに丸をつけます。丸は2つか3つまでにし、残りには日付を入れて棚に上げます。取り合っているのが時間か気力かを見て、曜日か時間帯で分けるやり方も試せます。棚に上げた側は用事の置き場をひとつにするへ寄せ、忘れる不安のほうを外に出します。丸をつけ直す見直しは月に一度で足り、その場で棚の側も読み返します。

はまりどころ

減らせば進むという効き目は、実験で比べられていません。何個までが最適かという数も研究に無いので、自分で試す範囲の話になります。落とすのが惜しくて全部を並行させると元に戻るため、棚に上げる日付を空欄のままにしません。同時に抱える数の話は、瞬間の同時処理を扱うマルチタスクは慣れれば身につくの話とは重なりません。仕事や家族の都合で減らせない時期もあります。

確かめられ方

Emmons と King が1988年に、個人の目標同士の葛藤と心身の状態の関係を報告しています。Louro らの2007年の研究は、複数の目標への努力の配り方を扱いました。いずれも相関と縦断の観察が中心で、対象は主に大学生や成人の自己申告です。目標の数を減らす介入を対照群とランダム化で比べた実験は見つからないため、効き目は分かっていません。

解説動画(海外・英語): I deleted 80% of my habits and became more productive/Ideas To Thrive

なぜ増えるのか: 動画の作者は、一日に30近い習慣を追いかけていたと明かし、積み上げるほど進みが遅くなったと述べます。増えたのは自分で選んだからではなく、動画や本で見かけるたびに一つずつ拾ったためだと言います。手を入れて直せる課題を渡された人を調べた研究でも、取り除くより足すほうを選ぶ人がほとんどでした。

一つずつ薄まる: 同じ一つの目標へ習慣を何本も向けると、大事さの感覚がその全部に分けられてどれも欠かせないものに見えなくなる、と動画は説明します。研究の側ではこれを希釈と呼ぶと述べ、一つ抜かしても他があると感じる状態を挙げます。そして欠かせないと思えない習慣は、いずれ落ちていきます。

守れる数の話: 一つの目標に本気で向かうと、頭は競合する目標の音量を下げると動画は述べ、研究者の呼び方として目標の遮蔽を挙げます。遮蔽の強さは思い入れの強さで決まるので、少しずつ手を出した30個ではどれにも強い守りが立ちません。数人の警護に30人を任せる図だ、と例えて見せます。

抱えたままの重さ: 目標同士が引き合う人を調べた研究では、その目標に手をつける回数は減り、代わりに頭の中で考える時間が増えていました。同じ研究で、ぶつかりの多い人ほど一年のうちに緊張の強さ・気分の落ち込み・体調の崩れが多かったとも伝えます。やらない分まで負担になる、という整理です。

残す側を選ぶ: ただし数を落とせばよいのではない、と動画は断ります。同じ方向を向いた習慣は互いを支えるので、切るのは注意を別の方向へ引くものです。連続記録のように進み具合を見えるところに置く仕掛けも、続けること自体が目的になっていれば切る側だと述べ、作者の31個は6個になりました。