望みと障害を並べる
決め方
うまくいった姿と、邪魔になる現実を両方書き出してから決める
どんな技?
紙を左右に分け、片側にうまくいった姿、もう片側にそれを邪魔する現実を書き出します。「合格して仕事が変わる」の隣に「帰りが遅くて机に着けない」を並べる形です。順番は望みを先に、障害を後に置きます。良い側だけを思い浮かべて終わりにしないところが中心で、障害を書く作業と組でなければ形になりません。書いたあとに、障害ごとの手当てを決めます。
なぜ効くのか
望みだけを思い浮かべると、頭の中でもう手に入った感じになり、動く理由が薄れると説明されています。障害を並べると望みと今の距離が見えて、どこに手を入れるかが決まります。まとめて確かめられているのは、対比のあとに実行意図まで下ろした形です。対比だけを取り出した形は、そのまとめには入っていません。自分の現状を見張るメタ認知の作業に近い技です。
やり方
望みを一つに絞り、その良い結果を2つか3つ書きます。次に自分の側にある障害を同じ数だけ書きます。相手や景気ではなく自分で動かせる障害に寄せると、次の手が出てきます。最後に障害ごとに「○○したら、△△する」を作り、実行意図の形まで下ろします。所要は10分前後で、望みと障害は同じ紙の上に並べたまま、月に一度書き直すくらいで足ります。
はまりどころ
良い側だけを書くとかえって動かなくなる、という向きの結果があるので、望みだけで止めないようにします。逆に障害ばかり並べると、やめる理由の一覧になってしまいます。報告されている効果量は小〜中で、紙に並べたこと自体が予定を動かしてくれるわけではありません。願えば叶うという話の反対側にある技で、そこと混ぜると形が崩れます。
確かめられ方
Wang らが2021年に行ったメタ分析は、対比に実行意図を組んだ手法を扱っています。集められたのは21本・24の効果量・15,907人で、結果はg=0.336でした。扱われているのは健康行動や学業を含む目標追求の場面で、材料や期間は研究ごとにばらついています。同じ論文の検定は出版バイアスの可能性を示しており、実際の効果はより小さい可能性があります。
解説動画(海外・英語): What is WOOP?/WOOP
良い想像だけの罠: 動画は「前向きに考えろ」「否定的な独り言をなくせ」という助言から入り、研究はそこまで効かないと示していると述べます。就職する自分を思い描いた学生ほど内定は少なく、交際が始まる場面を思い描いた学生ほど相手と結ばれず、手術後の順調な回復を想像した人ほど新しい関節を動かせませんでした。
夢だけでは力が出ない: 減量の成功を明るく思い描いた人ほど落ちた体重は少なかった、という例も並びます。20年にわたる研究から見えてきたのは、良い未来をただ夢見ることがそこへ行くのに要る力を奪うという向きで、心身の健康の低さや、日々の充実と成長の乏しさにも結びついていたと動画は整理します。
四つの手順に組む: そのうえで、思い描く気持ちのいい作業に段取りを足せば結果は変わる、と動画は続けます。示されるのは願いを決め、いちばん良い結果を思い描き、自分の中にある障害をはっきりさせ、計画を作る四段で、動画はこれを WOOP と呼びます。計画では障害をどう乗り越えるかまで細かく決めると述べます。
試された場面: 確かめ方も紹介されます。大切な共通試験を控えた高校生の一群にこの手順を短く練習させ、別の一群には形だけの課題を渡したところ、練習した側が練習問題を多く解きました。食事の情報だけを渡した中年女性の群と、情報に手順を足した群を比べた研究では、足した側が最長2年にわたり果物と野菜を多く食べたと述べます。
自分を止めるもの: 動画は、この手順が気づかないうちに頭の中の結びつきを強め、認知と感情と行動を自動化して使える力が増えると説明し、費用がかからず場面を選ばないと付け加えます。締めは「願いを叶えるのを止めているものは何か」という問いで、良い側だけを思い描いて終わらせないというこの技の要が、そこに置かれています。