後流
渦と後流
物の後ろに残る、周りより遅い流れ
どんな現象?
動く物の後ろには、周りより速度が落ちて乱れた帯が残ります。幅は物の大きさと形で決まり、角ばった車の後ろでは車体の高さほどの帯が数台分の長さまで伸びます。中は圧力がわずかに低く、細かい渦が混ざりながら少し遅れて周りの流れに溶けます。後ろが平らに切り落とされた形ほど、この帯は太くなります。
なぜ起きるか
物は流れを押しのけて進むので、その分の勢いを流れに渡します。渡された空気は物と同じ向きに動き出し、周りから見ると遅れた帯になります。この帯が持ち去った勢いこそが、物が受ける抗力の正体です。だから後流が太いほど後ろから押し返す力が足りず、そのぶん抵抗が大きくなります。後ろをなだらかにすぼめて後流を細くすれば、そのぶん抵抗は減ります。
どこで見られるか
高速道路で大型車の後ろに入ると風が急に静かになる場所、船の後ろに続く泡の帯、走る人のすぐ背後。自転車のドラフティングは、この遅い帯に体を入れて自分が押しのける空気を減らす走り方で、2〜4割ほど力がいらなくなるとされます。ただし車間が近すぎるのは危険で、公道でまねをするものではありません。
勘違いしやすいところ
後ろが真空になって引っぱられるわけではありません。後流の中は少し圧力が低いだけで、大気圧に比べればごくわずかな差です。抵抗とは、前で強く押される力に対して後ろから押し返す力が足りない差のことで、「吸い込む力」という言い方は起きている向きを取り違えています。押しているのはいつでも周りの流体の側で、吸う力という部品はどこにもありません。