スロッシング

波と不安定

容器の中の液体が行き来する揺れ

どんな現象?

持ち歩くコップの中身が、歩く歩調に合わせてだんだん大きく傾き、やがて縁を越えます。タンクの中では液面が斜めに行き来し、壁を叩く音と衝撃になります。容器を止めても中身はすぐには止まらず、しばらく行き来を続けます。半分ほど入った容器がいちばん派手に動きます。

なぜ起きるか

容器の中の液面には、大きさと深さで決まる周期があります。外からの揺れがその周期に近いと、戻ってきた液面が毎回同じ向きに押されるので、押された分が積み上がって振れ幅が育ちます。行き止まりの壁では液は向きを変えるしかなく、止まりきれない重さの分が壁を押して、繰り返しの衝撃になります。壁が受ける力は静かに入れておいたときの何倍にもなることがあり、仕切り板は行き来の途中で渦を作ってその勢いを削ります。

どこで見られるか

コーヒーを持って歩くとき、タンクローリーが急に止まるとき、船の液体貨物、ロケットや自動車の燃料タンク。地震では周期の長いゆれが大きな貯蔵タンクの周期と合いやすく、中身があふれる被害が報告されています。屋上の受水槽や、半分だけ入れた水筒でも同じことが起きます。

勘違いしやすいところ

満タンが最も危ないと思われがちですが、半分ほどの量が最も暴れる場合が多く、いっぱいに満たすと動く余地が残りません。コップの中身も、歩く速さを少し変えるほうが効くことがあります。歩調と液面の周期を合わせないための工夫で、そっと歩くだけでは止まりません。

解説動画(海外・英語): How to Prevent Tank Slosh/Newton Crouch Company, LLC

止めるたび壁を叩く: タンクスロッシングとは、止まる・発進する・向きを変えるたびにタンクの中へ次々と波ができて、内側の壁を叩く現象。500ガロンのタンクに液体を途中まで入れた散布車を前へ引き、急に止めて見せると、中の水が大きく行き来するのが分かる。

水の重さが力になる: 水は1ガロンあたり8.35ポンド。同じ動きを2倍3倍の量を積んだタンクで、しかも時速30マイルで走っているところを想像してみろ、と言う。200ガロンの水がタンクの後ろに当たれば、タンクにも車にもブレーキにもとてつもない力がかかる。

止まったのに押された: 語り手自身の経験。展示会で使ったあと中身を空にしないまま運んだタンク車で、最初の信号でブレーキを踏み、いったんは止まった。ところが中身の揺れがトラックごと押し、車1台ぶんの距離を動いて交差点の中まで出た。前に誰もいなかったのが幸運だったと振り返る。

波を作らせない仕掛け: 対策はタンクの中へ入れるバッフルボールや液体サージ抑制材。中で液体が前後に行き来してできる波そのものを断つことで、波の向きへ車が押される危険を防ぎ、タンクにかかる力も減らす。道路をタンク車で走るなら要る、という位置づけになっている。