掃除機の吸い込み

部屋と空気

押し込む大気と、ゴミを運ぶ風の量

何が起きている?

吸口を床に密着させると音が低く変わり、ゴミが持ち上がります。数センチ浮かせるとほとんど効きません。紙パックやフィルタが詰まってくると、音は同じでも取れ方だけが落ちます。細いノズルに替えると近くの吸い付きは強くなるかわり、一度に運べる量は減ります。床の材質でも効き方は変わります。

なぜそうなるか

中のファンが空気を外へ送り出すので、機内の空気が減って圧力が下がります。すると外の大気が、高いほうから低いほうへ空気を押し込みます。押し込まれた流れがゴミに当たって押し、床から引きはがして管の中へ運びます。つまり引いているのではなく外が押しているわけで、「吸い込む力」という言い方は近道の表現です。詰まると通り道が狭くなり、流れる量が減って持ち上がりません。

確かめ方

吸口を手のひらでふさぐと、風が止まってモーターの音が高くなります。このとき圧力の差は最大でも、ゴミを運ぶ流れはゼロです。紙を一枚近づけて吸い付く距離を測ると、効くのは吸口のすぐ手前だけだと分かります。床に密着させたときといちばん違うのは、音ではなく通っている空気の量です。

つながる現象

床のすぐ上は流れが遅い境界層になっていて、薄く貼りついたゴミほど取れにくいのはこのためです。持ち上げているのは流れがゴミに与える抗力で、吸口を密着させるほど床すれすれの速さが上がります。ブラシでゴミを浮かせてやると、同じ風量でも取れ方が変わります。

解説動画: 家電製品アドバイザー 生活家電 掃除機/KiBANinter

紙パック式で起きていること: 家電製品アドバイザーの試験対策として、紙パック式はファンとモーター、紙パック、フィルター、ケースでできていると整理する。モーターがファンを回すとケースの中の気圧が下がり、圧力の高い外から空気が入ってくる。その流れがゴミやほこりを運んで紙パックにたまる、という順番になる。

試験で誤りとされる言い回し: 出題では、ファンの前方が大気圧より高い圧力になり、その差が高速の気流を生んで吸引口から空気が入る、という文が出てくる。これは誤りとされる。正しくは、モーターでファンを回してケース内の気圧を下げ、圧力の高い外側から空気が入るという順で説明する。

サイクロン室と集じん室: サイクロン式はサイクロン室と集じん室の2つの部屋でできている。サイクロン室で起きる旋回気流がゴミを飛ばし、集じん室にゴミがたまる。試験ではこの2つを入れ替えて、集じん室で発生した旋回気流でサイクロン室へ飛ばす、と書いた文がよく出るので、どちらでたまるのかで覚えるとよい。

吸込み仕事率が示すもの: 吸込み仕事率は、数字が大きいほど掃除機そのものの性能は高い。ただし実際にゴミが取れるかは別だと念を押す。床用ブラシの種類、床の材質、ゴミのたまり具合で変わるので、ワット数が高いから必ず取れるとは言えない。数字が高ければ性能の良い機種だとは言える、という線の引き方をしている。

吸い込み力持続率とブラシ: サイクロン式のカタログに載る吸い込み力持続率は、ダストケースが空のときからゴミ捨てのサインが出るまでの間に、風量をどれだけ保てるかの指標。99パーセント以上と書かれていれば性能の良いものだと見てよい。ブラシはモーター内蔵のパワーブラシと、モーターを持たず風の力で回るタービンブラシに分かれる。