扇風機の後ろの風

部屋と空気

吸う側と吹く側で届く距離がまるで違う

何が起きている?

前に立つと数メートル先まで風が届くのに、後ろは羽根の直径ほど離れるともう分かりません。後ろに紙を近づけても、動くのはごく近いところだけです。同じ機械の表と裏なのに届く距離がこれだけ違い、吸う側だけが極端に短いのが不思議に見えます。首振りにしても、後ろ側の届き方はほとんど変わりません。

なぜそうなるか

吹き出す側は向きのそろった束なので、周りを巻き込みながらも前へ運ばれ、少し離れたあたりでは距離が二倍になっても速さは半分ほどまでしか落ちません。吸い込む側は四方八方から集まる流れなので、距離が二倍になると速さは四分の一ほどまで落ちます。羽根は小さな翼で、通り抜ける空気を前へ曲げて押し出します。曲げられた空気が前へ進み、その反作用で本体は後ろへ押されます。後ろから空気が入るのは、圧力の下がった場所へ外の大気が押し込むからです。

確かめ方

前と後ろの同じ距離、たとえば20センチの位置にティッシュを持って、なびき方を比べてください。前では水平まで持ち上がるのに、後ろではわずかに引かれる程度です。距離を40センチにして同じことをすると、前後の落ち方の違いもつかめます。羽根には触れず、必ずガードの外側で試します。

つながる現象

羽根が空気を曲げて力を受けるところは揚力と同じしくみで、羽根の後ろに残る乱れた流れが後流です。吹き出しが遠くまで届くのは向きがそろっているぶん周りへ散らないからで、吸い込みが短いのは向きがそろっていないためです。扇風機を壁ぎりぎりに置くと、後ろで空気が足りず風量そのものが落ちます。

解説動画(海外・英語): Best fan placement to move air through the house/Matthias random stuff

風速計で置き場所を測る: 家の中に空気を通すには扇風機をどこに置けばいいかを、風速計で測る。窓の外から空気を引き入れる向きに全開で回すと、風速計はまったく動かない。裏返して窓の外へ吹き出させると、今度はごくゆっくり回り出す。低速の表示が粗いので、センサーをラズベリーパイにつないでグラフに出した。

窓から離すほど風が増える: 窓に押し当てて外へ吹き出させた状態は、1分ならして毎秒0.25メートルほど。そこから後ろへ下げるたびに値が階段状にはっきり上がり、1.5メートルまで離したところがそれまでで最も高い読みになった。距離を行ったり来たりさせて何度も測ると、増えるのは50センチを少し過ぎたあたりまでで、そこから先は2.1メートルまで離してもほとんど落ちなかった。

中央から出て縁から入る: この意外な結果の理由として、扇風機は中央から前へ空気を押し出す一方、羽根の縁のあたりでは前から空気を取り込んでいる、と説明する。網戸にぴったり付けると出したそばから同じ空気を取り込むことになり、かえって効きが落ちる。大きな箱型でも密着させたときがいちばん低かった。

後ろに立っても風は来ない: 首振り型を網戸に密着させると、風速計はびくとも動かない。その扇風機の後ろに立っても風はほとんど感じない。空気はあらゆる方向から羽根へ入ってくるので、後ろの一方向だけから来る理由がない——だから窓の外の空気を引き入れる使い方には向かない。

置き方の結論: 結論は、窓の外へ吹き出す向きで使い、窓から半メートル(2フィート)以上離すこと。ただし外にそよ風でもあるなら、窓を全部開けるほうが扇風機よりよほど効く。小さな卓上型を3フィート(約90センチ)離すと、窓にはめた大きな箱型と同じだけ空気が動いた。箱型も窓から離せばもっと動く。