発酵あんこ

麹の調味料

発酵あんこは、茹でた小豆に米麹を混ぜて保温し、麹の酵素ででんぷんを糖に変えて甘くしたあんこです。

どんな発酵?

茹でた小豆に米麹を混ぜて保温し、麹の酵素ででんぷんを糖に変えたあんこです。砂糖を一切入れずに甘くなるのが特徴で、甘酒と同じ原理。「砂糖不使用」ではありますが、糖が無いという意味ではありません—— でんぷんが糖に変わっているだけです。甘みを生むのは麹菌のアミラーゼがでんぷんを分解したブドウ糖で、米麹の甘酒を使った研究では50〜60℃で生成量が最も多いと報告されています。

材料

小豆と米麹だけ。茹で小豆と米麹をほぼ同量。小豆は指で潰せる柔らかさまで茹でる—— 硬いと酵素が働きにくくなります。ひとつまみの塩を加えると発酵が進みやすくなるという説明もあります—— ステンレス鍋で発酵あんこを作る大澤チャンネルの動画による、個人の経験に基づく話です。麹は乾燥でも生でも構いません。

仕込み方

茹でた小豆を60℃前後まで冷ましてから麹を混ぜます—— 熱いまま混ぜると酵素が失活します。55〜60℃で6〜10時間保温。途中で1〜2回混ぜ、水分が足りなければ湯を少し足す。これは麹菌の酵素が働き、食中毒菌が増えにくい温度だからです。米麹の甘酒を調べた倉橋敦(八海醸造)のレビューは、食中毒菌はおよそ40℃で増え始め、サルモネラ菌とブドウ球菌は55℃を超えると死ぬとされます(甘酒での報告です)。

見極めと失敗

温度が下がると乳酸菌が増えて酸っぱくなります—— 甘くならず酸味が出たら温度不足です。砂糖も塩も入っていないので、日持ちしません。冷蔵で3〜4日、それ以上は小分けにして冷凍。異臭やぬめりが出たら廃棄。酸っぱくなっても、乳酸菌が増えただけで傷んだわけではないので食べられます—— ステンレス鍋で発酵あんこを作る大澤チャンネルは、酸味が強い場合は蜂蜜や砂糖を少量足せば食べやすくなると話しています。

出典

  1. 論文・英語 Oguro Y, Nakamura A, Kurahashi A(八海醸造)(2019) Effect of temperature on saccharification and oligosaccharide production efficiency in koji amazake
  2. 論文・英語 Kurahashi A(八海醸造)(2021) Ingredients, Functionality, and Safety of the Japanese Traditional Sweet Drink Amazake
  3. 動画 ステンレス鍋のための料理教室!大澤チャンネル お鍋で作る、ゆでこぼし不要の発酵あんこ

解説動画: 【保存版】○○で絶対甘くなる発酵あんこの作り方!失敗しないコツ&4種の調理器具ごとの作り方まで徹底解説/シクロエの家

小豆はお湯で洗う: 動画は洗い方から入ります。皮からは水を吸いにくく、白い目から吸収する。ところが冷たい水で目が閉じてしまうので、湯をかけてさっと洗うのだと説明します。このあとの下ゆでにも湯を使うから、多めに沸かしておいて使い回すとよいそうです。洗ったらそのまま湯へ入れます。ここでは小豆200gで進めます。

びっくり水と渋切り: 湯に入れて強火にかけ、再沸騰したら冷たい水を1カップ差す。表面の加熱がいったん抑えられて、皮の硬い小豆もむらなく炊けます。そのまま煮ると中身が吸う前に皮が破れるためだと説明します。再び煮立ったら10分ゆで、煮汁が色づいたらざるに上げて渋切りし、渋みと苦みを流します。すっきりとした味の餡になるからです。

60℃まで冷ましてから: 鍋に戻して水を足し、弱火で40〜60分煮ます。水が減りすぎると焦げつくので、ときどき見て足します。力を入れなくても潰れる柔らかさになればよく、時間は目安だとしています。熱いまま麹を混ぜると酵素が働かないので、温度が60℃くらいに下がるまで冷ます。ゆで汁は後で使うので取っておきます。

もち米を足すと甘い: 甘くなるのは、麹菌(コウジカビ)がでんぷんをブドウ糖やオリゴ糖に変えるからです。ならば餌になるでんぷんを増やせば甘くなるという筋道で、もち米を加えます。切り餅なら細かく刻んで、どちらも無ければ普通のご飯で代用でき、いずれも炊いたものを使う。分量は小豆と同量なので覚えやすいとしています。

混ぜながら保温する: 60℃を保てる器具ならどれでもよいとし、ヨーグルトメーカーとオーブンで作り分け、炊飯器なら保温機能を使うと説明します。オーブンは熱が伝わりにくいそうです。蓋は閉めずに濡れ布巾をかけ、乾いたら濡らし直す。こまめに混ぜると発酵のむらが減る。パサついたらゆで汁を足します。冷蔵でも酸味が出てくるので(→酸っぱくなりすぎた)、多めのぶんは小分けで冷凍と結びます。