青カビチーズ

乳製品

青カビチーズは、針で穴を空けて空気を通し、内部で青カビを育てて青い筋を作るチーズです。

どんな発酵?

Penicillium roqueforti を内部で育てるチーズです。白カビが表面から進むのに対し、青カビは酸素が要るので、チーズに針で穴を空けて空気を通し、その道筋に沿って青い筋ができます。塩分が高く、刺激的な風味になります。いまの青カビ菌には、ロックフォール用の古い系統と、それ以外の世界中の青カビチーズに使われる新しい系統という、別々に家畜化された2つの系統があると、CNRS(フランス国立科学研究センター)などのチームがゲノム解析と性質の比較で報告しています。ロックフォール系統はチーズの中でゆっくり育つのに対し、世界中で使われる系統は脂肪を分解する力とチーズの空洞に広がる力、塩への耐性が強く、工業生産に向いた性質を持つそうです。

材料

牛乳・羊乳、乳酸菌スターター、レンネット、青カビの胞子、塩。ロックフォールは羊乳、ゴルゴンゾーラとスティルトンは牛乳が代表です。ロックフォール系統の胞子は、伝統的にはパンの上で増やされてきた—— 古い家畜化の名残りだと前出のチームは説明しています。

仕込み方

固めた凝乳に青カビの胞子を混ぜ、型に詰めて水分を切り、塩をします。数日後に針で穴を空けて空気を通す—— これが青い筋の道になります。低温・高湿度で数ヶ月熟成させます。

見極めと失敗

青い筋と、そこから広がった斑は正常です。表面にピンクや黒のぬめりが出た場合は別の菌。塩分が高いので、そのまま大量に食べる食品ではありません。切り口をラップで密着させて冷蔵—— 乾くと風味が落ちます。青カビの仲間には強い毒(PR毒素)を作る系統もありますが、チーズに使われる系統からはこの毒素がほとんど検出されないと、フランス・ブルターニュ西部大学などのチームが44株の代謝物を比べて報告しています。

出典

  1. 論文・英語 Dumas E, Feurtey A, Rodríguez de la Vega RC ほか(CNRS・パリ・サクレー大学ほか)(2020) Independent domestication events in the blue-cheese fungus Penicillium roqueforti
  2. 論文・英語 Crequer E, Coton E ほか(ブルターニュ西部大学ほか)(2024) Different metabolite profiles across Penicillium roqueforti populations associated with ecological niche specialisation and domestication

解説動画: 【チーズのお勉強】ブルーチーズの特徴を学びながら食べ比べ!/フジサワ食堂

固めて、型に詰める: 以前の回の復習として、と断ってから作り方をおさらいします。牛乳にまず乳酸菌と青カビを入れて発酵させ、レンネットなど乳を固めるものを加えて凝固させ、そこから水分を分離させます。残った塊を型に詰めて成形し、熟成に入る前に塩をするという順番です。

塩が濃いのは穴のため: ブルーチーズが他より塩辛いのは、塩の濃度そのものが濃いから。理由は、そのあとに来る工程にあります。針で穴を空けて空気を通すと青カビが育ちますが、その穴からは他の雑菌も入りやすくなってしまう。だから塩を多めにして雑菌を抑え、塩には比較的強い青カビだけが育つようにしているのだと説明します。

三大ブルーの違い: フランスのロックフォール、イギリスのスティルトン、イタリアのゴルゴンゾーラを世界三大ブルーとして並べます。ロックフォールだけが羊のミルクで、あとの二つは牛乳です(→青カビ(チーズの))。熟成のさせ方も違い、スティルトンはむき出しのまま、他の二つは錫の箔を巻いて熟成させるそうです。

箔と、穴の残り方: 箔を密着させる理由は、青カビが光を苦手とすることと、空気を遮ると脂肪酸の分解が進むことだと紹介します。同じゴルゴンゾーラでも、柔らかいドルチェは穴を空けても閉じてしまい、空気が通らず青が少ない。硬めに仕上げるピカンテは穴が残るので青が多く、香りも強い。名前は同じでも、中身は分かれています。

食べ比べて分かること: 4か国6種類を、そのまま・オリーブオイル・はちみつという順で食べ比べます。香りの強いものはオリーブオイルと噛み合わなかった一方、はちみつとは境目が分からないほどつながったと評します。生クリームと合わせて加熱したところ、スティルトンとロックフォールは生のときとの違いが大きかったそうです。