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焙煎度に合わせた温度と挽き目の変え方。

焙煎度で淹れ方を変える理由は、豆の組織の詰まり方と、出したい味の2つです。焙煎した豆を走査電子顕微鏡で見ると、焙煎が深いほど内部のすき間が増え、浅い豆ほど組織が詰まっていました(ベリー大学)。同じ研究ではエチオピアの生豆2種を焙煎度を変えて焼き、エアロプレスで湯と粉を15対1にそろえて淹れると、抽出率は焙煎で重さが12〜14%減ったあたりで最も高く、それより深い焙煎では下がりました(同)。

エアロプレス
エアロプレス写真: Bex Walton / CC BY 2.0

浅煎りは成分が出にくいので、細かく挽き、湯温を上げるのが基本の向きです(湯温の決め方)。浅煎りで甘みが弱く酸味がきつく感じるとき、原因の多くは抽出の不足です(Kenken Coffee)。一度、湯温を100℃近くまで上げ、挽き目をこれまでより大きく細かくして淹れ、渋みや刺すような苦みが気になったところから少しずつ粗く戻すと、甘みを残したまま好みの位置にたどり着きます(同)。湯温より挽き目のほうが抽出への効きが大きいので、戻すときは挽き目から動かします(同)。粉20gに湯340g・96℃・2分45秒で淹れた浅煎りは、明るい酸味のあとに蜂蜜のような甘さが残りました(同)。

湯温の決め方
湯温の決め方写真: markolaz / CC BY 2.0
明るい酸味
明るい酸味写真: Dinesh Valke from Thane, India / CC BY-SA 2.0

ここ数年は、北欧の浅煎り(ノルディック)よりさらに浅い「ウルトラライト」も出回っています。挽いた粉の色を測る機器の値(高いほど明るい)は、深煎り83前後・中煎り93前後・浅煎り100〜105・ノルディック116に対し、ウルトラライトは139.5でした(Lance Hedrick)。紅茶や白茶のような軽さと花のような香り(フローラル)が出る一方、酸味の強さはノルディックより穏やかで、どの生豆でもこの焙煎に耐えられるわけではありません(同)。合わない豆や休ませ足りない豆は、干し草や穀物のような味になります(同、Brian Quan)。焙煎から1か月から1か月半置いて味が落ち着いた例があり、淹れ方はさらに細かく・さらに熱くが出発点ですが、逆に湯温を下げる人もいて、豆ごとに試すことになります(Brian Quan)。

花のような香り(フローラル)
花のような香り(フローラル)写真: Derk29 / CC BY-SA 4.0

浅い焙煎どうしでも、酸の中身は変わります。浅煎りから極浅煎りまでの5種をフレンチプレスで淹れて測ると、焙煎が浅いほどクエン酸・リンゴ酸・クロロゲン酸と糖が多く、深くなるにつれて酢酸や乳酸が増えました(南デンマーク大学)。ただし個々の酸の量と感じる酸味は直接には結びつかず、飲んで感じ取れる濃さで入っていたのはクエン酸のような酸味のクエン酸だけでした(同)。

フレンチプレス写真: Annkuk / CC BY-SA 4.0

深煎りは逆に成分が出やすく、焙煎に由来する苦みも早く出るので、湯温をやや下げ、抽出の後半を落とし切らないのが基本です(湯温の決め方)。粉の膨らみを崩さないよう少量ずつゆっくり注ぎ、サーバーに目標の量がたまったらドリッパーを外すと、後半の渋みと苦みを入れずに済みます(暮らしと珈琲)。ペーパーフィルターを先に湯で湿らせるかも焙煎度で分け、浅煎りは湿らせて紙に成分を吸わせず、深煎りは湿らせずに出すぎる最初の成分を紙に吸わせます(同)。

焙煎に由来する苦み
焙煎に由来する苦み写真: Ragesoss / CC BY-SA 3.0
ペーパーフィルター写真: —Estormiz 06:57, 10 September 2006 (UTC) / Public domain

やりがちなのは、1つの配合を焙煎度を問わず使い回すことです。浅煎りと深煎りでは出したい味が違い、器具も湯温も変わります(同)。豆を買うときに2回目のはぜ(2ハゼ)まで焼いたかを尋ねると、果実味を出す豆か、甘みと苦みを出す豆かの見当がつきます(同)。

出典

  1. 論文・英語 Lindsey ZR, Williams JR, Burgess JS, Moore NT, Splichal PM(ベリー大学 物理学科)(2024) Caffeine content in filter coffee brews as a function of degree of roast and extraction yield
  2. 論文・英語 Rune CJB, Giacalone D, Steen I, Duelund L, Münchow M, Clausen MP(南デンマーク大学)(2023) Acids in brewed coffees: Chemical composition and sensory threshold
  3. 動画 Kenken Coffee 【おすすめレシピ】その浅煎り甘いですか?浅煎りコーヒーを甘くする入れ方【調整方法】
  4. 動画・英語 Lance Hedrick(バリスタ。動画は広告付き) Is Coffee Getting...Too Light???
  5. 動画・英語 Brian Quan(焙煎所 Moonwake の焙煎担当との対談。その豆を売る利害がある) WTF is Ultralight Roast Coffee? Roasting, Brewing, and Resting Discussion
  6. 動画 暮らしと珈琲の動画(岡山と東京の焙煎所。自店の豆を売る利害がある) 【同じ豆なのにこんなに変わる】簡単でおいしいハンドドリップ公開飲み比べ