発酵食品図鑑 | オトモドリンク&イーツ

酢は、酢酸菌がアルコールを酸化して酢酸に変えたもので、必ず酒造りのあとに続く発酵です。

酢
写真: 不明 / CC BY-SA 2.0(Wikimedia Commons)

発酵の中身

酢酸菌がアルコールを酸化して酢酸に変えたものです。米→日本酒→米酢、りんご→シードル→りんご酢という二段階を経るので、酢造りは必ず酒造りの後ろに来ます。酢酸菌はエタノールや糖を不完全に酸化して酢酸やセルロースを作ります。この働きは酢だけでなく、コーヒーやカカオ、コンブチャの発酵でも中心の役割を果たします(海外の総説論文)。

材料

アルコールを含む液体(市販の酒を使う場合、酒税法上の扱いに注意が必要です)と、種酢(市販の無殺菌の酢、または酢酸菌膜)が要ります。酢酸菌のエタノールを酢酸に変える働き(酸化発酵)は、コンブチャやケフィア、ランビックビールづくりでも何世紀も前から使われてきました(海外の総説論文)。種酢は、この菌を確実に持ち込むためのものです。

仕込み方

酢酸菌は酸素が必要なので、口の広い容器を使い、布などをかけて空気を通します。25〜30℃で数週間から数か月かけて発酵が進み、液面に薄い膜(酢酸菌膜)ができれば順調です。毎日かき混ぜて空気を行き渡らせます(米国ペンシルベニア州立大学のエクステンション)。玉ねぎ酢を28℃で仕込んだある研究では、24時間で酸度4.80%に達しました。

見極めと失敗

酸味が十分に出たら、こして瓶詰めし、常温で保存します。日本では、アルコール分1%以上の飲料を家庭で製造することは酒税法で禁じられています。家庭で酢を作るときは、市販の酒を原料にし、無殺菌の酢や酢酸菌膜を種にする方法が安全です(→ビネガーマザー(酢酸菌の膜))。表面に色付きで毛羽立ったカビが生えたら、酢ごと廃棄してください。

ビネガーマザー(酢酸菌の膜)
ビネガーマザー(酢酸菌の膜)写真: Zinnmann / CC BY-SA 3.0

解説動画

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【ゆっくり解説】腐った酒から生まれた最強調味料…「酢」とは何者なのか?を解説/酢酸菌の正体…「体が柔らかくなる」は本当か?

酢の正体

酢の正体は酢酸を主成分とした水溶液。一般的な食酢で酢酸は4〜5%程度、残りのほとんどは水。日本では酸度4%以上が酢として認められるラインという基準がある。わずか数%の違いで、味も保存性も化学的な性質も大きく変わる。

なぜ「腐った酒」なのか

酢はもともと、酒が空気中で変化してできるもの。ワインや日本酒を放置すると酸っぱくなるのは、アルコールがさらに変化して酢酸になるため。ただしこれは単なる腐敗ではなく、微生物が関わって起きる制御された変化—— だから食品として利用できる状態になる、という区別を明確にしている。

酸の強さと安全性

酢のpHは2〜3程度で、レモン汁に近いレベル。数値だけ見ると強いが、大事なのは濃度—— 実験で使うような濃い酸は危険でも、数%まで薄まっていれば食品として安全に扱える。加えて酢酸は弱い有機酸で、塩酸などの強酸とは性質が違うため、適量なら影響は穏やかだと説明している。

健康効果の話は整理して聞く

「体が柔らかくなる」「飲めば痩せる」といった話にはかなりの誤解が混ざっていると明言している。ダイエットや血糖値の話題で取り上げられることが増えた一方で、話が大きくなりすぎている部分がある、という立場。

出典: ゆっくり生物チャンネル【ゆっくり解説】(YouTube)で動画を見る ▶

出典

  1. 論文・英語 Głodo W, Śliżewska K(2026) Acetic Acid Bacteria: Metabolic Potential, Technological Applications and Emerging Probiotic Functions
  2. 論文・英語 Lynch KM, Zannini E, Wilkinson S, Daenen L, Arendt EK(2019) Physiology of Acetic Acid Bacteria and Their Role in Vinegar and Fermented Beverages
  3. 論文・英語 Lee S, Lee JA, Park GG, Jang JK, Park YS(2017) Semi-Continuous Fermentation of Onion Vinegar and Its Functional Properties
  4. 公的機関・英語 Penn State Extension(Luke LaBorde、元はオハイオ州立大学エクステンションの資料) Making Cider Vinegar at Home