燻製(スモーク)

焚き火・炭火

燻製(スモーク)は、食材に煙をまとわせるだけの贅沢な調理法。

どんな料理?

チーズやゆで卵、ソーセージを煙でいぶす、キャンプならではのつまみです。キャンプでも家でも作れます。CAMP HACKは、燻製を温度で3つに分けて説明しています。80℃以上の熱燻は10〜40分、30〜80℃の温燻は1〜6時間、15〜35℃の冷燻は数週間かかるとしています。初めてなら、短時間で仕上がる熱燻から始めるのが無難です。

材料

好みのものを合わせて300gほどが作りやすい量です。プロセスチーズ、ゆで卵、ソーセージ、ちくわ、ナッツが向いています。チップはサクラなどを選べます。チェダーチーズの研究(Rizzoら2022)では、ヒッコリーが燻製らしさを最も強くし、チェリー材は果実のような香りになったと報告されています。CAMP HACKは、鍋をアルミホイルで覆うと後片付けが楽で、においも付きにくいと話しています。

作り方

食材はキッチンペーパーで表面の水気をしっかり拭きます。CAMP HACKは、水分の多い食材ほど燻製に時間がかかると説明しています。鍋底にアルミ皿とチップを置き、網を乗せて食材を並べます。強火で煙を出し、煙が上がったら弱火にしてふたをします。英語の解説動画Coalcracker Bushcraftは、木を足しすぎると炎が大きくなり、覆いに燃え移るので注意しています。

コツ・注意

低温の冷燻では、リステリア菌が減らないとカナダ保健省は燻製魚の指針で書いています。米国農務省の研究所(USDA ARS)は、サケの燻製で温度が華氏9度上がるごとにリステリアの減る速さが10倍になったと報告しています。チーズは溶けやすいので網を高くして火から離し、短時間で切り上げるのが安全です。屋外で、風下に人がいないことを確かめてから始めてください。

出典

  1. 論文・英語 Rizzo PV ら(Journal of Dairy Science)(2022) Identification of aroma-active compounds in Cheddar cheese imparted by wood smoke
  2. 公的機関・英語 Health Canada(カナダ保健省)(2018) Guidance Document on Ready-to-Eat Smoked Fish and Multi-Ingredient Products Containing Smoked Fish
  3. 公的機関・英語 米国農務省 農業研究局(USDA ARS)(2010) サケの燻製とリステリア菌の不活化(米国農務省 ARS の発表)
  4. 動画 CAMP HACK 【燻製】キャンプでも家でも簡単に出来るスモークのコツ!
  5. 動画・英語 Coalcracker Bushcraft Survival Instructor Teaches How to Preserve Meat in Wilderness: Survival Food Rations

解説動画: 初心者向けの燻製の作り方と片付け/カインズ公式チャンネル

概要: 燻製職人が、小型のバーベキューコンロとスモークウッドだけでできる初心者向けの燻製を実演している。一般的な燻製器は電気やガスを使うが、この組み合わせならバーベキューのそばでおつまみを作る感覚で燻製ができる。食材は下処理不要のものを選んでいる。

通気口は必ず開ける: 最初に挙げているのが、コンロについた2つの通気蓋を両方とも開放すること。煙でいぶすのだから閉じ込めた方がよいと思われがちだが、煙を閉じ込めると苦い燻製に仕上がってしまうため、必ず煙を逃がす。

スモークウッドの扱い: チップは量の調整と温度管理が大変なので、初心者にはスモークウッドを勧めている。一度火をつければ燃え尽きるまで待つだけで済む。ウッドは半分に折って使い、折れにくければカッターで切り込みを入れる。 点火が要点で、縁が白くなるまでバーナーでしっかり炙らないと途中で消えてしまう。四隅をなぞるように1分から2分炙る。普通のライターでは時間がかかるためバーナーがよい。

食材の置き方とチーズのコツ: 水気の多い食材はキッチンペーパーで水分を拭いてからセットする。水分があるとえぐみや苦みが出る。並べ方にも決まりがあり、網の中心は上からヤニが落ちて食材が汚れるため避け、円を描くように外周を埋めていく。 チーズは別扱いで、スモークウッドの上にアルミホイルを敷くと熱が遮られ、横から回る柔らかい煙で溶けずにきれいな色がつく。とろけるタイプは溶けるので普通のプロセスチーズを使う。セットしたら蓋をして1、2時間待つ。動画では約1時間半で仕上がっている。

片付けと失敗しない5つのポイント: 使い終わったスモークウッドはアルミホイルに包んで水に当ててから可燃ゴミとして処理する。コンロはヤニが出るので油汚れ用の洗剤を吹きつけて5分ほど置き、汚れが浮いたら水とスポンジで洗い流す。網は外して洗う。 最後にまとめている5点は、通気口を開放する、スモークウッドは縁が白くなるまで炙る、食材は下処理不要のものを選ぶ、チップに挑戦するのはウッドに慣れてから、そして色は濃くつけたくなるが薄い色づきで十分という点。

解説動画(海外・英語): How To Use A Offset Smoker In Under 5 Min/Keeping It Dutch

火室と調理室が分かれているのがオフセットスモーカー: アメリカのバーベキュー用スモーカーのうち、横に張り出した火室(ファイヤーボックス)で炭と薪を燃やし、隣の大きな調理室に食材を並べるのがオフセット型。熱と煙が火室から横に流れ込んで食材に当たる仕組みで、撮影者はこの日、調理室に鶏肉を置いた状態で解説している。世の中の解説動画は15分も20分もあって、そこまで見ていられない人のために基本だけを5分でやる、というのがこの動画の趣旨。彼は調理室に水を入れたトレー(ウォーターパン)を置く派で、必須ではないが肉がしっとり仕上がるので自分は必ずやる、やらない人もいる、と両論あることを断っている。炭を入れる前に火室の横のドアを閉めておくのも忘れずに。開けたまま炭を流し込むと、下からこぼれ落ちる。

炭を先に熾し、白くなってから薪を乗せる: 火の作り方は炭が先、薪が後。普通のグリルで炭を熾すのと同じ要領で、一山ぶんの炭だけに火をつける。表面が白っぽくなってきたら、その上に薪を乗せて薪にしっかり火を回す。彼の燃料はヒッコリーの薪と炭の組み合わせだが、燃料にする木は好きなもので構わない、というのが彼自身の言い方なので、手に入りやすいサクラやコナラに置き換えても趣旨からは外れない。火が回ったら調理室のフタを閉め、温度が上がるのを待つ。狙う温度帯は215〜250°F(約102〜121℃)で、彼は焼くものにかかわらず常にこの範囲に収めると言っている。

温度が上がらないときは火とダンパーの順に見る: 温度が200°F(約93℃)から上がらないときの点検順序が決まっている。まず火が消えていないかを見る。炎や炭が生きているのに伸びないなら、次は火室のダンパー(空気の取り入れ口)。閉じていれば空気が入らないので温度が頭打ちになる。いったん全開にしてどこまで上がるか見るのが彼のやり方で、自分のスモーカーなら200°Fから300°F(約149℃)、ときにはもう少し上まですぐ上がるほど効くという。だから普段は半インチ(約1.3cm)ほど開けた、ほぼ閉じた位置で使っている。全開にしたのに210°F(約99℃)で止まって伸びないなら燃料が足りていないので、薪や炭を足し、さらに空気の通り道を広げてやると火が戻って一気に上がる。

下げたいときはダンパーを絞り、それでも駄目なら煙突: 逆に上がりすぎた場合。300°F(約149℃)や350°F(約177℃)まで行ってしまい250°F(約121℃)に戻したいなら、まずダンパーを絞る。全閉まで試して落ち着く位置を探す。それでも300°Fから動かないときの手が2つあり、1つは開いている煙突側を絞ること。空気の流れを制限するだけで、彼のスモーカーでは15〜20°F(約8〜11℃)落ちるという。もう1つは調理室のフタを開けて冷ますことで、これはすぐに効くので放置せず、温度計を見ながら閉め戻す。

最後は自分のスモーカーの癖を覚えるしかない: 彼が繰り返すのは、最初の何回かはダンパーの練習だと思え、ということ。買ったばかりのスモーカーは自分で触って自分の機種の癖を掴むよりほかになく、そこさえ押さえて燃料(彼の場合はヒッコリーの薪と炭)が安定すれば、あとは応用が効くという話になっている。煙突側のダンパーはまったく触らない人も多いが、彼は何度も使ってみて必要なときに確かに効いたので使う派だと述べている。機材の大きさが違っても、空気の入口と出口の開き具合で温度を作るという考え方は小さなスモーカーでも変わらないので、そこを持ち帰るとよい。