翼鏡
翼と尾の名前
翼鏡は、カモの翼にある光る面です。次列風切の一部が金属光沢を帯び、地味な羽の個体にも残るため、飛び立った一瞬の手がかりになります。
どこを指すか
カモ類の風切羽のうち、次列風切の外側に並ぶ金属光沢の面です。色素ではなく羽の微細な構造が光を返して出る色なので、当たる角度によって青にも緑にも見え、暗く沈むこともあります。面の前後を白い縁が挟む種が多く、白線と光沢の組み合わせで一つの模様になります。畳んだ翼では三列風切に隠れて一部しか出ないため、翼を広げた瞬間がいちばん広く見えるときで、水面で休む個体では帯の切れ端しか読めません。
見分けにどう効くか
雌や、夏の地味な羽の雄にも残ります。カモ類は雄の派手な色が季節で消えるため、頭や体の色は年じゅう使える手がかりになりません。翼鏡はその期間も形と位置が変わらないので、飛び立った一瞬に、翼の後ろ寄りで光る面だけを見ます。座っている個体では隠れており、羽ばたきや伸びをする瞬間まで待つことになります。見たいからと追い立てて飛ばせるのは、この本では取らない方法です。
似た語との違い
翼帯と混ざりやすい語です。翼帯は雨覆や風切の淡色の先端が並んでできる線で、翼鏡は次列風切そのものが光る面です。線に見えるか、面が光るかで分けられます。翼鏡にも白い縁が付くため、縁だけを取り出すと線に見えますが、縁の内側に光沢のある広がりがあるかどうかが境目になります。翼鏡と呼ぶのはカモ類に限られ、ほかの仲間で似た光沢が出ても、この語は使いません。
身近な鳥で確かめる
カルガモの翼鏡は青紫に光り、前後を白い線が挟みます。コガモは緑と黒が並ぶ細い面で、体が小さいぶん光る幅も狭くなります。色の見え方は角度と光で変わるため、一度の観察で色名を決めず、複数の図鑑の記載と突き合わせます。和名の表記は日本鳥学会「日本鳥類目録 改訂第8版」に合わせています。光沢が読めない日は、翼鏡では決めないで、体つきと嘴の形に戻ります。