巣に近寄る

近づく・触る

巣を見つけたら、そのまま離れるのが線です。日本野鳥の会のガイドラインⅠ②は、巣や巣立ち雛に遭遇したらすみやかにその場を離れるよう求めています。

どういう行為か

営巣中の巣や巣穴を見つけたあと、のぞく・戻ってくる親鳥を待ち構える・三脚を立てて構えるまでがこの項目の範囲です。木に登る、枝を払う、巣箱の蓋を開けるといった手を加える行為はもちろん、離れた場所から長時間レンズを向け続けることも入ります。巣のまわりの様子が変わること自体が問題なので、触れていなければよいという線引きにはなりません。人の出入りが踏み跡を残し、ハシブトガラスのような巣を襲う側に道筋を教えてしまう場合もあります。

法や指針での位置づけ

法ではなく指針が線を引いている項目です。鳥獣保護管理法第8条が禁じているのは鳥獣の捕獲等と鳥類の卵の採取等(採取または損傷)で、のぞく・待ち構えるだけではこの条文には触れません。線を引いているのは日本野鳥の会のガイドラインⅠ②(巣や巣立ち雛に遭遇した場合はすみやかにその場を離れる)と、フィールドマナー「やさしいきもち」の「ち:近づかないで、野鳥の巣」です。軒先の巣を落とすが法の話、こちらは距離の話です。

なぜ問題になるか

日本野鳥の会のフィールドマナーは、子育ての季節の親鳥はとくに神経質で、危険を感じたり巣のまわりの様子が変化すると巣を捨ててしまうことがあると説明しています。親が戻れない時間が延びれば、その間卵は冷え、ヒナは餌を待つことになります。同会のガイドラインⅠ①は、飛び立つ・逃げるといった行動をストレスを感じた時の行動として挙げており、巣の前でそれが起きているなら距離が足りていません。

代わりにどうするか

巣だと分かった時点で、その場から離れるのが手順です。親鳥が餌をくわえたまま近くの枝で動かなくなったなら、人がいるせいで入れていない合図なので、下がる距離を伸ばします。観察したいなら巣ではなく、親鳥が採餌に出ていく先を見ます。記録は「◯月◯日、軒下で出入りあり」までにとどめ、どこの何かが分かる書き方は避けます。この本が巣の場所を投稿するを別に立てているのも同じ理由です。

相談する窓口

営巣が工事や剪定の予定と重なったときは、都道府県の鳥獣行政担当(自然環境課や自然保護課)に先に聞きます。窓口の名は自治体で違うので、市町村の環境担当に取り次いでもらう形でも届きます。観察の作法そのもので迷うなら、日本野鳥の会の各支部が探鳥会を開いており、その場で線の引き方を教わるほうが早く身につきます。通報先ではなく相談先として使う窓口です。