追い立てて飛ばせる
近づく・触る
飛ぶ姿は、待って撮るものです。手を叩く・石を投げる・群れへ歩み寄って一斉に飛ばせる行為は、日本野鳥の会のガイドラインⅠ①が戒める距離不足そのものです。
どういう行為か
こちらの動作で鳥を飛ばせる行為をまとめて指します。手を叩く、口笛を鳴らす、石や小枝を投げる、休んでいる群れへまっすぐ歩み寄るのはどれも同じ結果を招きます。犬を放して走らせる、自転車で水際を突っ切るというように、意図のない動きが同じ働きをする場合も入ります。飛翔の一枚が欲しいという動機で起きやすく、飛んだ理由がこちら側にあるかどうかが分かれ目です。
法や指針での位置づけ
違反にはあたりません。鳥獣保護管理法第8条は捕獲等と鳥類の卵の採取等を禁じており、飛ばせただけで捕らえていなければ条文の外です。法の線とマナーの線がずれるのがこの項目で、罰則がないことと問題がないことは別です。日本野鳥の会のガイドラインⅠ①は「野鳥と十分な距離を取るよう心がけましょう」とし、飛び立つ・逃げる等の行動をストレスを感じた時の行動と説明しています。
なぜ問題になるか
飛ぶことは、鳥にとってその日に使える体力を削る動きです。冬の水辺に来ているヒドリガモのような種は、日中に採餌と休息を配分しており、飛ばされるたびに配分がやり直しになります。一日に何度も起きれば、削られたぶんは春に北へ戻るための余力から引かれます。餌を取る時間が短くなる、休む水面を捨てて別の場所へ移るという形で、あとから結果が出ます。
代わりにどうするか
動かずに、鳥のほうが近づくのを待つのが代わりです。群れの手前で立ち止まり、視線を外して数分そのままでいると、採餌が再開されることがあります。飛翔が撮りたいなら鳥が自分から飛ぶ場面を選びます。潮が満ちて休み場が水没するとき、ねぐらへ入る夕方、トビのように上昇気流へ乗る時間帯なら、こちらが何もしなくても翼は開きます。
相談する窓口
歩ける範囲と近づける距離は、その土地の管理者が決めています。河川敷なら河川管理者、干潟や湖沼の鳥獣保護区なら都道府県の鳥獣行政担当が立入りの線を持ち、柵やロープの向こうへは入らないのが前提です。撮影者どうしの間合いで困ったときは、探鳥会の主催者や日本野鳥の会の支部に相談すると、その場所での慣行を教えてもらえます。