日の丸構図
構図
主役を中央に置いて迷いを消す
どんな型か
主役を画面の中央に大きく置く型。日本では日の丸の旗に見立ててこう呼ぶ。初心者がやりがちな失敗の代表として語られることが多いが、主役が丸い、左右対称、こちらを向いている、のどれかに当てはまるときは中央がいちばん強い。迷いのなさがそのまま画面の強さになる。
何が起きるか
見る人の目はまず画面の中心を見るので、そこに主役があれば一度で伝わる。まわりを整理するほど主役は浮き、背景が騒がしいと途端に弱る。一目で分かる代わりに視線が動かないため、時間の流れや奥行きは出にくい。フリードリヒの雲海の上の旅人は、中央に置いた後ろ姿と広い風景でこの型を使っている。
使い方
絵では背景を単純にし、主役の輪郭が背景と同じ明るさに沈まないようコントラストを作る。写真は主役の目にピントを置く。絞りを開いて背景をぼかすと中央が抜けて見える。1対1の正方形で切ると中央配置は決まりやすい。日の丸を避けたいときは三分割法の交点へ半歩ずらす。
やりがちなミス
上下左右が同じだけ余ると、主役が浮いて標本写真のように見える。余白は上を広く下を詰めるなど、片側に寄せると落ち着く。背景の電柱や看板が主役に重なると中央の強さが裏目に出て、そこばかり目につく。動いているものを中央で止めると行き先が消えるので、進む向きを空ける視線の抜けと使い分ける。
解説動画: 日の丸構図が強くなる条件と他の構図との組み合わせ/中原一雄 / studio9 channel
日の丸構図をどう見ているか: 主役をど真ん中に置く型で、カメラを渡された人が何も知らずにやる撮り方だと言う。初心者っぽい、良くない構図と言われがちだが、ストレートに置く分だけ力のある写真になりやすいと説明している。万能な三分割法は定番すぎて面白みに欠けることがあり、良いと感じる写真は意外と日の丸構図が多い、という見方を示している。
うまくいく条件: 条件は二つで、被写体そのものに力があることと、まわりがシンプルであること。その辺にある普通のものを中央に置くと被写体のほうが負けてしまうため、いちばん見せたいものを思い切って中央へ置くよう勧めている。背景がごちゃごちゃしていると崩れるので、余計なものがないテーブルの上の食べものを上から撮るような場面が向くと言う。
余白の扱い: 中央に置くと上下左右へ余白が均等に出てバランスを取りにくいので、はみ出すくらい寄って余白をなくすと強制的に収まると言っている。観覧車を画面から大きくはみ出させた作例を挙げている。左右対称になる場所も収まりがよく、空に雲があれば横へずらしていたが、何もない快晴だったので中央に置いたと説明している。
ほかの構図と組み合わせる: 実際の写真は基本の三つ、三分割と日の丸と対角線が二つ三つ組み合わさってできていることがほとんどだと言う。赤ちゃんを中央に置きつつ顔は三分割の位置に合わせる、中央に据えた寺社の屋根の斜線で動きを出す、といった例を挙げ、何十種類もある構図の名前も中央か、ずらすか、斜めかの噛み合わせで説明できるとしている。