リン酸(PO₄-P)

植物に効く数字

効く相手: 植物

pHが上がるほど、株が取れる分が減ります。餌から来た養分ですが、カルシウムと結んで沈み、固形物と一緒に系から出ていきます。

何を表す数字か

餌と魚の排泄から入る養分で、水に溶けたリン酸イオンの、リンだけを数えた値が PO₄-P です。リン酸イオンとして書いた値とは数え方が違い、そのままでは比べられません。窒素と違って菌が形を変えて運ぶ道筋がなく、溶けるか沈むかで行き先が決まります。沈めば、水を測っても見えなくなります。

目安の範囲

Cerozi と Fitzsimmons 2016 は、溶けたリンを保つには pH 5.5〜7.2 の範囲と結んでいます。水の濃度そのものは系ごとの開きが大きく、マス類の系で補いなし 10 mg/L、補いあり 31 mg/Lという測定があります(Elakrouch ら 2026)。濃度だけを見ても、株が取れる分までは分かりません。

動くと何が起きるか

pH が上がるとカルシウムと結んで沈み、株が取れる分が減ります(Cerozi と Fitzsimmons 2016)。同じ論文は有機物とアルカリ度があると、高い pH でも溶けた分が保たれるとも書いています。沈んだリンは固形物にくっついて動くので、泥を抜くと一緒に系の外へ出ていきます(→沈殿槽)。

測りかた

家庭向けの試験キットで、リン酸を読めるものは多くありません。淡水用の比色試薬があれば測れますが、海水用の目盛りをそのまま使うと桁が合いません。pH と同じ日に測って、組で見ます——同じ濃度でも pH で株が取れる分が変わるためです(→pH)。採水のときに泥を吸い上げると、沈んでいた分まで混ざって高く出ます(→採水のしかた)。

誰がどう測った値か

pH の範囲は Cerozi と Fitzsimmons 2016(Bioresource Technology)で、アクアポニックスの水を使った実験と、Visual MINTEQ による計算から出ています。作物の収量で確かめた値ではありません。濃度の実測はニジマスとバジルの 60 日試験によります(Elakrouch ら 2026)。

解説動画: Aquaponic Plant Nutrients: Phosphorus/ZipGrow

窒素の次の養分: 動画は、肥料の表示でNPKと並ぶうちのP、リンの話だと切り出します。細胞の代謝と株の中の働きを回す要の元素で、育ちと形づくりに欠かせないものだと述べる。それでもアクアポニックスの話題にあまり上がってこないのは、たいていの系では足りているからで、不足として現れる場面が限られているからだと説明します。

果菜で先に出る: 薄さが見えてくるのは、ミニトマトやキュウリのように花と実と種をつくる側に力を割く作物を育てているときだと動画は言います。こうした株はカリウムとリンをよく食うので、育てている床でうっすらとした不足が出はじめる。葉やハーブが中心の系では、ふつうそこまで薄くならないという分け方をしています。

よく溶ける側: 株が取れるのはリン酸イオンの形で、水にとてもよく溶け、沈むことは多くないと動画は説明します。沈むとすればpHがとても高いか、とても低いときだけ。ただし溶けやすいぶん藻もこれを好み、畑から流れ出たリンが川や湖で藻の大発生を招くので、農業では入れすぎに気をつける元素だとも話します。

葉が紫がかる: 不足のいちばん見つけやすい形は葉が紫がかることだと動画は言い、ほかの症状もあるので欠乏の見分け表と併せて見るように付け足します。そのうえで、見た目に出ていなくても、果菜を実らせ続けるには足りていないことがあると続ける。症状の手前に薄さの段がある、という言い方をしています。

足すときの構え: 足すならリン鉱石の粉を少量まき、根のまわりでゆっくり溶け出す形にすると動画は述べます。IBCほどの系で1オンスほどを砕き、半分をふって様子を見る。足すのは果菜の床だけにして葉物の床とは分ける。光の当たる魚槽に入れると藻が湧くので日を遮ること、株の反応は一、二週間で出ることまで話して結びます。