硝酸態窒素(NO₃-N)

植物に効く数字

効く相手: 植物

同じ水で、40とも180とも書けます。NO₃-N と NO₃⁻ では 4.43 倍ちがうので、単位を確かめてから比べます。

何を表す数字か

硝化の終点にできる窒素で、亜硝酸から硝酸へ変わったあとの姿です。水に溶けたまま残り、根から吸われるところまで来ています。表記は二通りあって、硝酸イオンで書いた値は、窒素だけを数えた値の 4.43 倍です。硝酸イオンの式量 62.00 に対し、窒素は 14.01。同じ水を測っても、単位が違えば数字は四倍以上ちがって見えます。

目安の範囲

NMSU Extension Circular 680 は、アクアポニックスの目安を5〜150 mg/L(ppm と同じ)と置いています。150 mg/L を超えるのは、窒素に対して株の側が追いついていない合図で、株を増やすか床を広げるほうへ話が向きます。下は 5 mg/L で、これを割ると株が使う分に届きません。同じ表の表記は「nitrate」で、どちらの数え方かまでは書かれていません。

動くと何が起きるか

上がり続けるのは、魚が出す窒素に対して株の吸う量が届いていない状態です(→硝酸だけが増え続ける)。株を増やすか、床を広げるか、餌を減らすかのどれかになります。魚に対しては、アンモニアや亜硝酸ほど強く効きません。ただし溜まった分は EC を押し上げ、水を替えないかぎり系の中に残ります(→系から出ていく窒素)。

測りかた

比色試薬か試験紙で読みます(→比色試薬の測りかた)。硝酸の試薬は振り方と待ち時間の指定が細かく、そこを外すと低めに出ます。濃い側は色の差が小さく目盛りも粗いので、薄めて測り、倍率をかけて戻すほうが読み分けられます。水温が低い季節は発色が遅れるので、指定の時間まで待ってから読みます。採る場所と時刻は毎回そろえます(→採水のしかた)。

誰がどう測った値か

目安は NMSU Extension Circular 680(Sallenave 著)で、大学の普及資料であって一次研究ではありません。一般のアクアポニックスとティラピアの系の両方に、同じ幅が書かれています。実測の例では、ティラピアとキュウリを 5 か月回した系で最大 226 mg/Lという報告があります(Hashemi ら 2026)。総水量およそ 80 トンの規模です。

解説動画: 1ヵ月以上、水換えしなかった、ろ過無し小型水槽の水質を測ってみた/ロービジョンアクア やっとん

測ったのはこの水: 動画は、外寸18×15×15 cm ほどの小さな水槽でアカヒレを1匹、3年近く飼っている水を測ります。ろ過も曝気もなく、水草はアヌビアスだけ。餌は3〜4日に1回、水換えは月に1回で7〜8割を入れ替える。勧める飼い方ではないと先に断ったうえで、1か月以上換えていない水がどうなっているかを見にいきます。

試験紙で読む手順: 使うのは6項目を一度に読む試験紙で、硝酸塩・亜硝酸塩・塩素・総硬度・炭酸塩硬度・pH が並びます。乾いた手で持ち、1秒浸してから水平にして1分待つ。取り出したら容器の蓋はすぐ閉める——動画はここを閉め忘れたと自分で言います。読むのは色の帯と見本を並べての目測です(→試験紙の測りかた)。

1か月後に出た値: 1か月以上換えなかった水は、硝酸塩が50 ppm を少し超える色でした。試験紙が水換えの目安に置く 100 ppm には届かないものの、良い側でもないと読みます。亜硝酸塩と塩素は問題なし、総硬度だけが150 ppmの線をやや超えました。pH と炭酸塩硬度は動いていません。硬さは敷いた砂利のせいかと推し量ります。

換えた翌日の値: 翌日に8割ほどの水を換えて測り直すと、硝酸塩は10 ppm を少し超えるあたりまで下がりました。薄まり具合が換えた量とおおむね合うと動画は言います。蛇口から出したばかりの水道水も同じ試験紙で測り、硝酸塩は出ず、塩素も地域の目標値が試験紙の下限を下回るため反応しなかった、と述べます。

残るのは硝酸だけ: 亜硝酸が出ず、壁にコケもあまり生えない——菌は根づいていて水は安定していると動画は見ます。それでも分解の終点として硝酸塩は残り、換えないかぎり溜まっていく。この水槽なら少なくとも月に一度の水換えは要る、というのが動画の結論です。育ちの遅い水草の浄化に期待しすぎるのは危ういとも言い添え、硝酸だけは自分で外へ出すしかないと締めます(→硝酸だけが増え続ける)。