EC(電気伝導度)
植物に効く数字
効く相手: 植物
養分の量ではなく、イオンの総量です。亜硝酸対策の塩も補水の硬度も同じだけ押し上げるので、この系では養分の代わりになりません。
何を表す数字か
水がどれだけ電気を通すかを測った値で、溶けているイオンの総量を映します。単位は µS/cm か mS/cm で、1 mS/cm は 1000 µS/cmです。どのイオンかは区別しません——養分も、塩も、補水に入っていた硬度成分も、同じように押し上げます(→塩化物イオン(Cl⁻))。
目安の範囲
魚由来の水は、処方した養液より低い側に出ます。トマトの試験では、水耕 1.78 mS/cm に対しアクアポニックスは 0.37〜0.41 mS/cmでした(Lobanov ら 2026・査読前)。マス類の系では、補いなし 400〜650 µS/cm、補いあり 2600〜2750 µS/cmという報告があります(Elakrouch ら 2026)。
動くと何が起きるか
上がり続けるときは、出ていくより速く何かが溜まっています(→ECが上がり続ける)。中身が養分とはかぎりません——補水の硬度も、亜硝酸への手当てで入れた塩も、同じだけ数字を押し上げます。低いから薄い、高いから濃い、とは読めません。株の側は個々の養分で見て、EC は動きの向きを見るために置きます。
測りかた
電極式の計器で測り、水温の補正が入っているかを確かめます。電極は使ううちにずれるので、標準液での校正が要ります(→電極の校正と保管)。採る場所と時刻をそろえ、値そのものより動きの向きを見ます(→採水のしかた)。補水した直後は下がるので、水を足す前に測る習慣にしておくと、前の週の値と並べられます。
誰がどう測った値か
水耕との比較は Lobanov ら 2026 のトマトを使った報告で、査読を受けていない段階の数字です。補いの有無で比べた値は Elakrouch ら 2026 の、ニジマスとバジルを 60 日回した試験によります。どちらも研究用の規模で、家庭の水槽の目安ではありません。単位も µS/cm と mS/cm が混ざります。
解説動画: 電気伝導率(EC/TDS)とは何か?/Hanna Instruments, Inc.
ECが測るもの: 動画は EC を、決まった面積のあいだで水がどれだけ電流を通せるかを測った値だと説明します。その面積は電極にあらかじめ作り込まれていて、セル定数と呼ばれます。だから値は単位面積あたりで表され、単位はジーメンス毎センチメートル、マイクロやミリの位も挙がります。伝導率、電気伝導度、EC と呼び名は分かれますが、指しているものは同じだと最初に断ります。
イオンだけを映す: 水が電気を通すのは、電気を帯びたイオンが溶けているときだけだと動画は言います。例として、砂糖をたくさん溶かしても値はほとんど動きません。砂糖はイオンに分かれないからです。溶けている量そのものではなく、帯電した粒だけを映す数字だということになります。何種類ものイオンが混ざっていても、EC はどれがどれだか区別しません。
TDSは換算の値: EC から出す TDS(総溶解固形物)は間接に求めた値だと動画は言います。換算の比は溶けているものごとに違い、既知の TDS を測った EC で割って求めます。TDS 56 g/L で EC 800 mS/cm なら比は 0.07という計算を示し、本来の TDS は重さで量るものだと補います。よその測定所や公表データと並べるなら、どの係数で出した値かを先に確かめるよう述べます。
栽培での読み方: 土や生育培地では、溶けている養分と塩の量を推し量るために測ると動画は言います。高いほど使える養分が多く、低ければ足す側という読み方を示しつつ、土の種類ごとに EC の出かたには癖があるとも述べます。そのうえで、この値は特定の物質を指さないのでどの養分が足りないかまでは分からないと釘を刺します。
温度と校正のこと: 値は水温で動きます。動画は温度が上がるとイオンが活発になり、抵抗が下がって値も上がるとしくみを説明し、冷えれば逆になると言います。校正液とサンプルの温度差はそのまま誤差になるので、計器側の温度補正で埋めます。毎日使うなら毎日校正する、器の壁から離す、底を軽く叩いて気泡を抜く——扱いはここに集まると結びます(→電極の校正と保管)。