カルシウム(Ca)

植物に効く数字

効く相手: 全部

魚の浸透圧調節と、葉の先の両方に効きます。硬度として魚を助け、足りなければ葉先枯れや尻腐れになります。

何を表す数字か

水に溶けた陽イオンとして硬度の中身をつくり、株の側では細胞の壁をつなぐ材料になります。マグネシウムと合わせて硬度、炭酸水素イオンでアルカリ度と、別々の数字に分かれて出てくるので取り違えやすいところです(→アルカリ度(KH))。魚と株の両方に効く、数の少ない養分です。魚の側では体液の濃さを保つ働きに、株の側では新しく伸びる先の組織づくりに使われます。

目安の範囲

NMSU Extension Circular 680 は、硬度を 50〜100 ppm に保つと書いています。同じ資料はアルカリ度を 100 ppm CaCO₃ 以上とも置いていますが、こちらは硝化菌の側の話です。実測では、ティラピアとキュウリの系で 170〜190 mg/L という報告があります(Hashemi ら 2026)。補水の水質でも動きます。

動くと何が起きるか

薄いと魚のえらでの浸透圧の調節に負担がかかります。株の側では蒸散の流れに乗って運ばれるため、湿度が高く風がないと内側の若い葉まで届かず、先から枯れます(→内側の若い葉の先が茶色く枯れる)。水のカルシウムを上げても葉先枯れは減らなかったという報告もあります(Langenfeld と Bugbee 2026)。

測りかた

硬度は試験紙か滴定式のキットで読めます(→水質試験キット)。硬度とアルカリ度(KH)は別の数字で、キットの箱も別です——取り違えると手当てが逆を向きます。補水に使う水道水の硬度で下地が決まるので、足す前に元の水を一度測っておきます。地域によって元の値がまるで違い、雨水を使うか水道水を使うかでも出発点が変わります。

誰がどう測った値か

硬度の目安は NMSU Extension Circular 680(Sallenave 著)の普及資料で、一般のアクアポニックスとティラピアの系に向けた記述です。葉先枯れの話はリーフレタスと同じレタスの仲間を使った水耕の試験に基づくもので、水のカルシウムを上げても症状は減りませんでした。アクアポニックスの水で同じことを確かめた資料は見当たりません。

解説動画: Hydroponic Lettuce Tip Burn and Calcium Deficiency/Indoor Hydroponix & Outdoor Organix

葉先が枯れる相談: 動画は、視聴者から届いた水耕レタスの相談に答える形で進みます。葉に茶色い斑点が広がり、先が枯れているという写真つきの相談で、品種はバタークランチ。まず自分の考える良い状態を紙に書き出し、相談者の条件と一つずつ突き合わせて、どこが外れているのかを絞り込むやり方をとります。

良い状態の目安: 動画が挙げる目安は、溶液の濃度500〜700 ppm、pH 5.6〜6.2、湿度50〜70%、室温50〜70°F、照明は1日12〜16時間です。とくに濃度とpHは水耕のすべてだと言い切ります。相談者のほうは光も湿度も温度も範囲に入っていて、pHも6.0でした。品種の選び方も外れていません。

濃すぎた養液: 外れていたのは濃度だけでした。肥料の袋の指示どおりに作ったところ1,500 ppmになっていたといい、動画はこれを葉物には濃すぎると見ます。濃い液の中のナトリウムがカルシウムと競り合うので、水にカルシウムがあっても株の側へ入っていかない、という筋道です(→EC(電気伝導度))。

戻ってこない養分: 動画がくり返すのは、カルシウムは株の中を移動しない養分だという点です。伸びるその時に取り込めなかったぶんは、あとから回ってきません。次の葉、その次の葉と足りないまま出てくるので、内側の若い葉の先が茶色く枯れる形と葉の斑点、そして伸びの止まりが重なって出てくると説明します。

足りないのではない: 結論は、カルシウムが足りないのではなく、吸えていないでした。傷んだ葉は元に戻らないので、動画は濃度を範囲に戻して一から作り直すよう勧めます。水の側に数字があることと、それが株に届くことは別だ——葉先の枯れをこの数字から読むときの、いちばん外しやすいところです。