タナゴ

観賞用の小型魚

水温帯: 広い

産卵に二枚貝が要るので、飼うことと殖やすことは別の話になります。種によっては、法律で捕獲も譲渡も禁じられています。

どんな魚か

全長5cmほどの在来の小魚で、雌は産卵管を伸ばして二枚貝の中に卵を産みます(FishBase)。孵った仔魚は、しばらく貝の中で過ごします。つまり貝がいなければ殖えず、飼うことと殖やすことが切り離せます。標準和名のタナゴは、環境省レッドリスト2020で絶滅危惧IB類とされています。

水温とpHの範囲

FishBase は温帯の淡水・汽水魚と記すだけで、飼育に使える水温やpHの幅を載せていません。東日本の平野の水路で四季の水温を経験する魚なので、系の折り合い(水温18〜30℃・pH 6〜7、Somerville ら 2014)の内側なら大きくは外れません。数字よりも、夏の高水温と溶存酸素(DO)を先に見ます。

餌と成長

石や壁についた藻と、底の小さな生きものをついばむ雑食です。粒の餌にも慣れますが、沈む粒を少量にとどめます。二枚貝を同居させる場合、貝は水中の細かい粒をこして生きるので、水が澄みすぎても足りません。ただし貝まで含めて飼い方を書ける資料は見当たりません。殖やす話は、そこで止まります。

組み合わせやすい作物

四季の水温に耐えるので、リーフレタスやサンチュ、葉ネギと組み合わせやすい相手です。魚が小さく数も少ないため、床は葉物の小さな区画から始めます。貝を同居させるなら、餌の粒が沈む場所と、沈殿槽でどれだけ取るかも一緒に決めることになります。貝を入れないのなら、ふつうの葉物の系として組み立てられます。

法と入手のこと

ミヤコタナゴやイタセンパラなど、種の保存法の国内希少野生動植物種に指定されたタナゴ類は、捕獲も譲渡も禁じられています。指定された魚類12種のうち5種がタナゴの仲間です。店に並ぶのは外来のタイリクバラタナゴなど。採集は都道府県の内水面漁業調整規則の下にあり、交雑と遺伝的攪乱を招くので放流しません(日本魚類学会 2005)。引き取り先は買った店に相談します。

解説動画: タナゴ産卵水槽のセット(タナゴの産卵準備)【日淡アクアリウム】字幕あり/hinapapa117

産卵の水槽を組む: 動画は3月上旬、暖かい日が続いたので今年は早いかもしれないと産卵用の水槽を組むところから始まります。水槽幅に合う流木を堰にして、奥側にソイルを敷き、その上から川砂をかける。水草はアンブリア・セキショウモ・マヤカを植え、熱帯魚屋で水草を買うのは20年ぶりくらいかと言い添えます。

貝を置くだけ: 魚は昨年生まれのアカヒレタビラで、1年魚でもう産卵管が出て、婚姻色も差してきています。産卵の準備といっても、百円均一の容器に川砂を入れ、そこへカワシンジュガイを差し込んで水槽に置くだけ。この貝はタナゴの産卵に万能だと言い切り、あとは魚が貝を品定めするのを待ちます。

寒さで水草が傷む: セットした直後から寒い日が続き、水温が5℃の日もありました。魚はスポンジフィルターの下に引きこもり、アンブリアは葉を落とし、セキショウモは白っぽくなる。マヤカだけが元気だったと話します。傷んだ株は室内で養生させ、水草を買い足して植え直し、ここでようやく完成としています。

貝の中で育つ稚魚: 殖やし方も述べます。貝を入れて1か月ほどしたら別の水槽へ移しておくと、そこから子が出てくる。稚魚は二枚貝の中である程度まで育ってから泳ぎ出すので、最初から稚魚用の餌を口にでき、育てやすい魚だと話します。難しそうだと思われがちだが実はそうでもない、というのが動画の見立てです。

分かれ目は貝: 最後は、産卵の瞬間を撮りたいがそれは運任せだと笑い、飼い始めるなら今から4月・5月のはじめがよいと勧めます。これから婚姻色が楽しめ、繁殖の機会もあると続けます。自分はやらないが人工授精で殖やす方法もあるとも言い添えます。それでも動画が中心に置くのは、貝を用意できるかどうかのほうです。