メダカ
観賞用の小型魚
水温帯: 広い
小さくても、放流の話がいちばん重い魚です。地域ごとに遺伝子が分かれていて、飼った個体を外に出すと元に戻せません。
どんな魚か
水田や用水路、池のように流れのゆるい浅い水に群れる在来の小魚で、全長は4cmほどにしかなりません。泳ぐのは水面に近い層で、落ちてきたものをついばみます。容器は深さより水面の広さで選ぶと数を入れやすく、浅い容器でも飼えます。日本のものはミナミメダカとキタノメダカの2種に分けられ、汽水にも入ります(FishBase)。
水温とpHの範囲
FishBase は飼育の目安として18〜24℃、pH 7.0〜8.0(dH 9〜19)を挙げています。この系の折り合いは水温18〜30℃・pH 6〜7(Somerville ら 2014)なので、硝化と植物に合わせた 6.5〜7.0 前後は、メダカから見ると好む幅の下寄りに当たります。魚に寄せて動かすより、pHの一日の振れ幅を小さく保つほうが効きます。
餌と成長
雑食で、水面に浮くものと、沈みきる前の細かい粒をよく食べます。育成期の給餌率は体重の1〜2%、稚魚では3%ほどが目安とされますが(Somerville ら 2014)、1匹が1gに満たない魚では量りようがありません。数分で食べきる量まで落とし、残りを取り除くほうが確かです。水温が下がると食べる量も落ちるので、えさを残すようになったときは水温から確かめます。
組み合わせやすい作物
水温帯が広いので、同じ帯で育つ葉物と組みやすい相手です。リーフレタス、サンチュ、葉ネギあたりが扱いやすく、加温なしでも季節を通して回せます。ただし魚が小さいぶん、餌から出る養分は少なく、育てられる株数は限られます。株数は魚の匹数ではなく、魚と野菜のつり合いは餌の量で決まるの考え方で見積もります。
法と入手のこと
増えた個体もふくめて放さないのが第一です。野生のミナミメダカとキタノメダカは環境省レッドリスト2020の絶滅危惧II類で、別の地域の個体や飼育品種を放すと地域集団の遺伝的攪乱を招きます(日本魚類学会 2005)。店に並ぶのはヒメダカなどの改良品種で、そこも同じです。採集は都道府県の内水面漁業調整規則の下にあり、引き取り先は買う前に決めておきます。
解説動画: メダカを田んぼに放流したらどうなる?/媛めだか
川で見かける改良品種: 動画は視聴者からの質問に答える形で始まります。近年、川や水路で色や姿の変わったメダカを見かけるようになった。誰かが放したのかもしれないし、飼育容器の排水口から卵が流れ出て、その先で孵化したのかもしれない。放流と、気づかないうちの流出という二つの経路を並べて置くところから話を起こします。
在来と改良は別物: 「日本の魚だから構わないのでは」という受け取り方に、動画はまっすぐ答えます。野生のものと改良品種は遺伝子の上でかなり違い、見た目ももはや別物になっている。改良品種は野に出ると比較的弱く、冬を越せずに死んでしまうことも多い。弱いのだから広がらないだろう、とはならない理由が次に続きます。
交雑と野生化: 越冬できなかったとしても、その前に野生のものと殖えてしまえば、純系ではなくなる。逆にその場所で越冬し、野生化して殖えていく可能性もある。日本のものは日本海側から北に多いキタノメダカと、南に分布するミナミメダカの二つに分かれるので、守るのは「メダカ」ひとくくりではなく純血の系統のほうだと言います。
飼えなくなったら: 事情があって飼えなくなったときは、田んぼや川に放さず、まず店や生産者に相談する。人気があってすぐ殖える魚なので、引き取り手は見つかると動画は言います。放されたせいで飼うこと自体が禁じられた外来の魚や、栽培が禁じられた外来の水草の例も挙げ、メダカを同じ道へ進ませないためだと結びつけます。
殖やす側の注意: 最後に、いちばん気をつけるべきは自分たち殖やす側だと自分へ向けます。川につながる排水を使っているなら卵ごと流してしまわないよう、目の細かい網を添えて水を捨てる。水路から汲み上げて水路へ戻す飼い方をしている人も同じだと言い、採集や乱獲も含めてみんなで気をつけよう、と締めくくります。