アユ

冷水性の魚

水温帯: 広い

飼える魚の中では、家庭からいちばん遠いところにいます。石の藻類を食べ、縄張りを張り、1年で一生を終えます。

どんな魚か

全長10〜30cm。櫛のような歯で石の藻をこそげ取り、削った跡が食み跡として残ります。餌場の石を中心に1m²ほどのなわばりを張り、入ってきた個体に体当たりします。密度が3尾/m²を超えるとなわばりをやめて群れる、と国立環境研究所の資料は書いています。1年で一生を終える年魚で、周年で回す水槽とは時間の単位が合いません。

水温とpHの範囲

産卵は最高水温が20℃を下回るころ始まり、16℃を下回るころ終わると記録されています。飼う側の水温は資料でも幅があり、加藤ら 2019(魚病研究)は種苗生産に加温する県と自然水温のままの県があると報告しました。適温をひとつに決められません。pHは折り合いの6.8〜7.0で足ります。

餌と成長

本来は石に生えた藻類が主食で、稚魚のうちは動物プランクトンや水生昆虫も食べます。水槽では配合の粒に切り替えますが、石を削る食べ方をそのまま置き換えるのは難しいです。光を当てて石に藻を育てると、餌と作物とで光を取り合うことになります。餌の形が変われば、出てくる養分の量も読みにくくなります。

組み合わせやすい作物

養分の出方が読みにくいので、少ない養分でも形になる葉物から始めます。クレソンは流れのある水に合い、リーフレタスは収穫までが短いぶん立て直しがききます。藻を育てる強い光は水槽の中の藻も増やし、硝酸態窒素(NO₃-N)を分け合う相手になります。床は小さく作り、余った面積は葉ネギのような長く置ける株で埋めます。

法と入手のこと

放流しません。種苗放流は漁協が計画して行うもので、琵琶湖産の種苗に混じった魚が各地で国内外来種になったと指摘されています。飼えなくなっても川へは戻せません。川での採捕は都道府県の内水面漁業調整規則で大きさ・期間・水系が制限され、漁協の遊漁券が要ります。個人に回る種苗は多くないので、入手先と引き取り先を迎える前に確かめます。

解説動画: 【ゆっくり解説】事実上の日本の国魚!?「鮎」とは何者なのか?を解説/鮎を世界に紹介したシーボルト、他の淡水魚との比較で見える“特異性”/ゆっくり生物チャンネル【ゆっくり解説】

一年で終わる魚: 動画は、アユを一年で一生を終える年魚として説明します。秋に川の中流から下流の礫底で産卵し、孵化した2〜3mmの仔魚は流れに乗って海へ下り、湾や汽水域で5〜8cmまで育って春に遡上する。海と川を往復する暮らしが生き方の柱です。ダム湖のように水温の安定した場所では、越年する個体もいると付け加えます。

石を削る食べ方: 主食は石に付いた藍藻や珪藻で、下向きの口と櫛のような歯でこすり取ると話します。削った跡は食み跡として石に残り、そこにアユがいた印になる。スイカやキュウリにたとえられる香りも、この食べ物から来ると述べます。プランクトンや水生昆虫を追うウグイやオイカワは口が前向き・上向きで、そこが大きな違いだと比べます。

なわばりと友釣り: 成熟したオスは餌場の石を占領し、近づいた個体に体当たりして追い払うと説明します。メスや若い個体はなわばりを持たず、群れで動きながら食べる。この性質を逆手に取ったのが友釣りで、国の重要無形民俗文化財に指定されていると述べます。昼に活発で、夜は岩陰で休む生活も併せて紹介します。

住める川の条件: 住める川の目安として、動画はBOD1mg/L以下・COD2mg/L程度と溶存酸素8mg/L以上を挙げ、水温は12〜25℃、いちばん活発なのは18〜20℃としています。餌の藻類が育つには光の届く透明度と、安定した流れも要る。飼う側から見れば、溶存酸素(DO)をこの高さで保ち続けられるかが最初の関門になります。

放流と温暖化: 終盤は課題に移ります。遡上する天然のアユが減り、各地で人工孵化した稚魚の放流が行われているが、天然のものと行動が違い、遺伝の多様性が失われるおそれがあると述べます。温暖化で遡上や産卵の時期がずれてきたとも言う。魚道を作る、遺伝的に多様な稚魚を選ぶといった取り組みを挙げて結びます。