硝化に要る酸素

酸素のめぐり

硝化菌は、窒素1gの酸化に酸素4.57gを使います。魚と同じ水から取るので、酸素の薄い水では魚より先に硝化のほうが鈍ります。

何が何に変わるか

硝化はアンモニウムを酸素で酸化していく反応で、一段目に亜硝酸、二段目に硝酸へ変わります。式の上では窒素1molあたり一段目に酸素1.5mol、二段目に0.5molが要り、重さに直すと3.43gと1.14g、合わせて窒素1gあたり4.57gです(Khater ら 2021 が循環式の設計に使う値)。取り込むのは水に溶けている酸素で、空気をそのまま使うわけではありません。

どこで起きているか

反応が進むのは、ろ材や配管の表面にできた薄い膜の中です(生物ろ過の担い手)。酸素は水の側から膜へしみ込んでいくため、外側ほど濃く、内側ほど薄いという段ができます。膜が厚くなると内側まで届かず、その奥は酸素が尽きた場所へ変わります。生物ろ材の形と大きさは、この届く深さを見て決めるものです。

速さを決めるもの

効くのは水温とpH、溶けている酸素の量、そして膜の表面積です。硝化菌は増えるのが遅く、有機物を食べる菌に酸素と場所を奪われます——分解が奪う酸素が同じ水の中で先に進むためです。ニューメキシコ州立大学の普及資料は、アクアポニックスで溶存酸素5 mg/L以上を保つことを目安に置いています。

止まるとどうなるか

酸素が細ると、硝化のほうが魚より先に鈍ります。変わりきらなかったぶんは水に残り、総アンモニア態窒素(TAN)と亜硝酸態窒素(NO₂-N)が上がります。二段目のほうが酸素の取り合いに弱いため、亜硝酸だけが先に溜まる形にもなりやすいところです(Navada ら 2020)。アンモニアが下がらないときに溶存酸素(DO)から見るのは、この順番があるからです。

解説動画: Why NITRIFICATION matters in AQUAPONICS!/New Agrarian

水を回す系でこそ: 動画は、硝化はあらゆる水域で起きている反応だと始めます。湖や海のように薄い場所では窒素が濃くなることがないので気にせずに済むが、水を使い回す系では逃げ場がなく、条件を自分で整える話になる。畑からの流出が集まる川や湾では、余った窒素が藻類の大発生として表に出ると例を置き、そこから話を進めます。

酸素と表面積: アンモニアを亜硝酸へ変えるのは好気性の菌で、酸素と、住みつく表面積の両方が要ると繰り返します。亜硝酸を硝酸に変えるのはさらに別の菌。硝酸まで来れば毒は弱く、そのまま植物の養分として使える。菌は瓶で買わなくても、汚れを入れれば入ってくる。要るのは酸素と面のほうだ、という順で説明します。

根も面になる: 面の作り方では、専用の粒を買わなくても、プラスチックの蓋や、旋盤で削った塩ビ管の削りくずで足りると言います(デラウェア州立大学で見た例)。話し手の系ではよく曝気した浮き床のレタスの根そのものが広い面になっていて、生物ろ材の槽は主にガス抜きのために置いていると述べます。

pHと水温で変わる: 効率を決めるものとして pH と水温を挙げます。植物には6台がよい一方、硝化菌は7.5〜8のほうが速い。硝化そのものが pH を下げ、酸を打ち消す力を食いつぶすので、アルカリ度(KH)は減った分を戻す必要がある(多くの水は50mg/Lほど)。水が冷えれば菌は止まり、温まれば速くなる——魚の消化も成長も同じだと言います。

酸素が切れた先: 最後は酸素の切れた場所です。空気が届かず有機物の溜まったところには別の菌が住み、硝酸から酸素を剥いで窒素を空へ返す。同じ系の中で脱窒も進んでいるということです。確かめ方として、ろ過部の出口と床の出口で硝酸を測って比べることを挙げ、どちらも0なら硝化そのものを疑えと結びます。