魚が使う酸素
酸素のめぐり
魚の酸素消費は、水温が上がるほど増えます。水が溶かしていられる量のほうは逆に減るので、夏はえらの側から先に足りなくなります。
何が何に変わるか
魚は水に溶けた酸素をえらから血へ取り込み、体の中で使ってから、二酸化炭素を水へ返します。取り込んだ酸素は泳ぐことにも、餌を体に変える働きにも回るので、食べる量が増えれば使う量も増えます。給餌の直後にひととき跳ね上がるのはこのためです。返された二酸化炭素は気体の出入り(水面と気泡)で水から抜けていきます。
どこで起きているか
受け渡しはえらのひだの表面で、水と血が薄い膜ごしにすれ違う形で進みます。えらの周りの水が入れ替わらないと、水槽全体の数字がよくても魚の側は細ります。だから水中ポンプの吐き出しの向きや、エアストーンの置き場所が効いてきます。流れの止まった隅では、同じ水でも見える数字と魚の感じ方がずれます。
速さを決めるもの
いちばん効くのは水温です。ナイルティラピアの循環式を測った例では、個体3.00gで24℃のとき30.65、32℃で74.05 g-O₂/(m³·h)、個体226.25gでは10.42から21.57へ増えました(Khater ら 2021)。同じ水温の上がり方で、水が溶かしていられる量のほうは減ります——15℃で10.08 mg/L、25℃で8.26 mg/Lです。
止まるとどうなるか
供給が追いつかないと溶存酸素(DO)が落ちます。Khater ら 2021 が引く値では、5 mg/Lを下回ると成長に響き、2 mg/Lでは生きられません。ニューメキシコ州立大学の資料は温水性の魚におよそ5 mg/L、冷水性に6.5 mg/Lを挙げていて、必要量は魚で違います。夜は光合成が止まるぶん明け方だけ酸素が足りない形で出ます。えらの動きが速いも同じことの見え方です。
解説動画: 酸欠と酸素の話!/松田養鯉場 青森
夏に出る酸欠: 動画は、水温が上がって魚がよく食べる時期こそ酸欠が出ると切り出します。水槽や池の限界を超えて詰め込むと一気に調子を崩す。昔ながらのかけ流しの池で、小さいうちは生きているのに大きくなると死んでしまう、と言われることも多いと述べます。よく知っている人には起きにくいが、いまだ一定数が酸欠で落としていると。
溶ける量の上限: 酸素はまず水の表面から溶け込むので、水面の近くがいちばん濃くなる。そこが限界に達すると、それ以上は入りにくくなります。そして溶け込める限界は水温で決まり、高い水温では量がかなり減る——湿度が高いときも溶けにくいと動画は言います。冬や春と同じ飼い方のままでは夏に足りません。
餌が使う酸素: 餌を食べると消化にかなりの酸素を使う、と動画は言います。だから酸欠が出かけているときに食べさせると、いっそう危ない。魚がエアや水の出口に集まりだしても餌には寄ってくるので、寄るかどうかでは判断せず、そういう時期は餌をかなり減らすほうへ倒すと述べます。入る餌は使う酸素につながる、という順です。
体が大きくなると: 小さいうちは足りていた池が、魚が育つにつれて足りなくなる、という筋道を動画は示します。同じ酸素の量で、小さいうちは耐えられていたのが、大きくなると耐えられなくなる。だから昔ながらの庭池でも、エアを入れるか、ポンプで水を回すだけで長生きすると勧めます。酸欠が出るところは餌も多いとも言い添えます。
足りない時の手当て: 対処として挙がるのは、3分の1ほどの水換えと撹拌、それに餌を減らすことです。地下水を直接入れれば水温も下がるので、そのぶん溶存酸素(DO)は溶け込みやすくなる。アオコが出ているときも起きやすいと付け足します。魚が使う量と水が溶かせる量が、夏には逆の向きへ動くという話です。