根がぬるついて崩れる
根の不調
判定: その株を外す
指で挟むと崩れる根は、もう戻りません。霧は系ぜんぶで共有されるので、崩れた根を残したまま回すと同じ棚へ広がります。
どう見えるか
根の表面がぬるつき、指で挟むと外側の皮がむけて芯だけが残ります。色は褐色から黒に寄り、水を張った器に入れるとほどけて濁ります。においは、土のにおいとは違う生ぐささになります。株の側は昼にしおれて夕方も戻らない方向へ動き、下葉から黄ばみます。同じ棚の隣の株にも、数日後に同じぬめりが出ます。
何が起きているか
根の細胞が壊れ、中身が外へ出ています。低酸素が続くと根をつつむ水の膜が厚くなり、傷んだ膜から漏れた養分が、水を通って動く菌の遊走子を呼び寄せます。噴霧栽培では同じ養液と同じ霧を、棚ぜんぶで分け合っています。1株の根が崩れると、養液タンクと配管を通って、伝播体が系の全体へ回ります。外した株の跡だけを見ていても止まりません。
どうするか
まず、その株を根ごと外へ出します。ちぎれた根をチャンバーの底に残しません。次に、チャンバーの内側と配管をすすぎ、タンクの中身を入れ替えます。最後にインラインフィルターを洗い、タンクの養液が濁ってぬめる側も確かめます。順を逆にすると、洗った先へまた同じものが戻ります。薬剤の名前と使いかたは、この本では扱いません。
起こさないために
崩れる前の段は根が茶色く変わると根が絡んでマットになるです。週に一度、下段の根を1本ずつ指で確かめます。平常時に保つのは、根が水に浸からないこと、養液の温度を上げすぎないこと、霧の休んでいる間に空気が入れ替わることの三つです。タンクは光を通さない状態にし、こぼれた養液も残しません。
どこまで確かめられているか
低酸素から根の膜が傷み、遊走子が寄ってくるという筋道は、Scott と Villouta 2026(Frontiers in Plant Science)のレビューがイチゴのNFTについてまとめたものです。噴霧栽培で同じ順を測った例ではありません。循環液での遊走子の広がりは Stanghellini ら 1996 が扱い、緩速ろ過で伝播体が減ることは Picot ら 2020 が3か所のトマト温室で測っています。