根毛ばかりが増える

根の不調

判定: このまま様子を見る

細かすぎる霧では、根毛ばかりが増えます。すぐ枯れるものではないので、記録を取りながら次の作でノズルを見直します。

どう見えるか

主根の伸びが止まったまま、根の表面が白い綿をかぶったように毛羽立ちます。近くで見ると細い毛が密に立ち、根の輪郭がぼやけて太く見えます。色は白いままで、ぬめりもにおいもありません。葉の側は枚数は増えるのに1枚あたりが小さい、という出かたになりがちです。同じ棚でもノズルに近い株ほど毛が多い傾向が出ます。

何が起きているか

粒が細かすぎて、根の表面に留まる水が薄いままです。細かい粒は落ちる粒と浮く粒のうち浮く側に寄り、根に当たらないまま気流と一緒に流れていきます。届く水が少ないので、根は表面積を増やす側——根毛の量を増やす方向へ形を変えます。枯れてはいないので、この形そのものは急を要しません。直すところは噴霧の側にあります。

どうするか

急いで直さず、まず記録を取ります。圧力計の値とノズルの型、噴霧と休止の時間を書き出し、根の写真を同じ位置から撮ります。次に休止時間を少し縮めて、届く量を増やします。それでも毛ばかりなら、粒の粗いノズルへ替えるのは次の作からにします。替えたあとは、同じ角度で根を撮り直します。作の途中で替えると、比べる材料が消えます。

起こさないために

噴霧の届く範囲とノズルの本数と間隔を、根の位置から決めておきます。ノズルは、粒径の実測値が公表されているものを選びます。根の形は月に一度、同じ株を同じ角度で撮って比べます。ザウター平均径と体積中位径は別の数字なので、どちらの径で書かれた値かを揃えてから比べます。カタログの値と実測は、一致しないことがあります。

どこまで確かめられているか

粗い粒ほど根圏の酸素が減り、細かい粒ほど根毛が伸びすぎるという関係は、Min ら 2023 が Clawson ら 2000 を引いて書いています。元は微小重力で行われた研究で、地上とは働く力が違うと Min ら自身が書き添えています。1〜2µmの粒はほとんど根に付かないことは Wyslouzil ら 1997 がヨモギ属の毛状根で測りました。地上の栽培で毛の量を測った例は見当たりません。

解説動画: Aeroponics Droplet Size for High-Pressure Systems/High Tech Gardener

50マイクロの目安: 動画は、高圧の噴霧で根に当てる霧を平均50マイクロメートルに置くと述べます。人の髪の太さがおよそ100マイクロメートルなので、その断面に2粒が並ぶ細かさです。なぜ50なのかが全部わかっているわけではないと断ったうえで、NASAの一連の研究がこの値を示していると紹介し、そのあとに理由を並べます。

浮いていられる粒: 一つ目は、空気の中に漂っていられるかどうかです。100マイクロメートルを下回る粒なら浮くとし、地上の重力では50マイクロメートルの粒が8秒以上漂うと述べます。噴いてすぐ底へ落ちる霧は根に触れないまま終わるので、浮いている時間そのものが条件になります。落ちる粒と浮く粒の分かれ目です。

根毛の3倍まで: 二つ目は根毛との寸法の比です。動画は根毛の直径をおよそ17マイクロメートルとし、粒はその3倍を大きく超えないほうがよいと述べます。3倍でおよそ50になります。大きすぎる粒は根毛を避けて回り込み、小さすぎる粒は当たっても跳ね返る。根毛の表面を覆える大きさが、その間にあるという説明です。

跳ね返って渡らない: 三つ目と四つ目です。動画は10マイクロメートル以下の粒を乾いた霧と呼び、面に当たっても水を置かずに跳ね返るため養分が渡らないと述べます。細かすぎる粒はノズルを出た直後は速くても急に減速し、密に詰まった根の塊の内部まで届かず、そこで腐りが起きるとも言います。小さすぎる霧は届かない話です。

散らばりが形を分ける: 最後に動画は、50マイクロメートルという指定は粒の平均であって、実際には大きい粒も小さい粒も混じると述べます。その散らばりが、魚の骨のような形の根と細い毛の両方を育てると結びます。根の形を見たときに霧の側の寸法を疑う手がかりが、根毛の量のところに置かれています。