超音波で霧を立てる
霧の作り方
振動子で液面に波を立て、その先端から粒を飛ばします。周波数が高いほど粒は細かく、数µmの霧になります。
どんな仕組みか
液面に超音波を当てると細かい波が立ち、波の山の先端がちぎれて粒が飛びます。霧が液面から立ちのぼる形で、圧力で裂く水圧だけで霧にするとは力の出どころが違います。Lang 1962 は波長を、表面張力を密度と周波数の2乗で割った量の3乗根に比例させ、粒径をその0.34倍と置きました。周波数を上げるほど粒は細かくなります。部品は超音波ミストユニットです。
粒径と圧力の目安
Wang ら 2025 は多モードの振動子を734・949・1530・2063 kHzで回し、平均粒径7.71・6.57・4.87・4.43 µmを得ました(純水・30 W・1条件あたり約8000粒)。分布は対数正規です。栽培側では Tunio ら 2022 の超音波フォガーが平均4.89 µm、d50が3.08 µm、d90が13.14 µm。基準の違いは個数基準と体積基準で押さえられます。
根に届くまで
細かい霧は落ちにくく、気流に乗って漂います。ところが Tunio ら 2022 では、この4.89 µmの区でレタスがうまく育たず、多くの指標で有意差が出ませんでした。根長は15分間隔で平均11.25 cmと最小です。小さすぎる粒は根に当たる前に流されたり蒸発したりする、という筋道になり、そこは霧は細かいほどよく育つ?が正面から受けます。
詰まりと劣化
振動子は液に沈めて使うので、水位が変わると霧の量が変わります。液に溶けた塩が振動面に固まると出力が落ち、見た目には霧が薄くなるだけで気づきにくいところです。養液そのものを霧化する構成では、濃さと汚れがそのまま面に乗ります。薄くなったまま気づかない側の見え方は気づいたら霧が出ていないにあります。
誰が、何を、どう測った値か
Wang ら 2025(Ultrasonics Sonochemistry 112:107166)は純水を使った装置単体の測定で、高速度カメラと画像処理で粒を数えています。栽培の結果ではありません。栽培側の 4.89 µm は Tunio ら 2022 の温室試験(レタス・4種のノズル×4通りの間隔)から。Lang 1962 の式は粘度を含まないので、粘りのある液では実測と合わないことが知られています。
解説動画: 超音波霧化ユニット 二重槽の霧化について/echotech
振動子に触れる液: 動画はまず、この装置が振動子に触れている液を超音波で霧にするものだと確かめます。使う液は精製水を基本とし、お湯や界面活性剤を含む液は対象外。引火性のある液体や人体に害のある液体を霧にするのは大変危険なのでやめてほしい、と釘を刺してから本題に入ります。部品は超音波ミストユニットです。
二重槽という手: 本題は二重槽です。振動子が浸かっている一層目の上にもう一つ容器を重ねると、一層目は霧にならず、二層目の液が霧になります。狙いは霧にする液を選べるようにすることで、振動子やパッキンに直接触れると故障や劣化を招くような液を霧にしたいときに、この組み方をすると説明します。
色水で確かめる: 実演では、一層目に水道水、二層目に食紅で色を付けた水道水を入れます。立ちのぼる霧そのものに色は付きませんが、周りに付いた水滴の色から、霧になっているのが二層目のほうだと分かります。二層目には、厚さ0.08ミリメートルのフッ素樹脂テープを底に張ったアクリルの筒を使っています。
水位は合計で: 水位の決め方は通常の使い方と変わらない、と述べます。この機種の適正水位は振動子から36ミリメートル、前後5ミリメートルで、二重槽にするときは一層目と二層目を合わせた高さをその値にそろえます。層を分けても、振動子から液面までの高さで合わせるという扱いは変わらず、二重にした分をそこに含めて数える、という言い方をしています。
底が超音波を通すか: 二層目の底の材質と厚みによっては、超音波が通らず、中の液が霧になりません。試した中では0.7ミリメートルのアルミ、0.6ミリメートルのステンレス、1.3ミリメートルのガラスのシャーレが霧化せず、0.9ミリメートルのポリスチレンのシャーレやフッ素樹脂テープ、セロハンテープで作ったものは霧になった、と結びます。