声に出して練習する
ひとりの時間
人数: ひとり
声に出して練習するのは、言いにくい話やプレゼンを誰もいない車内でリハーサルする過ごし方です。
時間の特徴
誰も聞いていない車内だからこそ、実際に声に出して練習できる時間です。MacLeod らの2010年の8つの実験(覚えた単語をあとで見分ける課題)では、声に出して読んだ単語のほうが、黙って読んだ単語より見分けやすくなりました。声に出した単語は、記憶の中で目立つ手がかりを持つようになるため、と説明しています。
向いている場面
ひとりでの移動向き。翌日に控えた発表や、言いにくいことを伝える予定があるときに向いています。Ozubko らの2012年の実験では、声に出す効果は1週間後にも残り、単語だけでなく文や文章でも見られました。Fawcett の2013年のメタ分析でも、声に出す組と黙読の組を分けた比較で中程度の効果(g=0.37)が出ました。いずれも読んだ内容の記憶を測った実験です。
始め方
伝えたい内容を1〜2文にまとめておき、声に出して話してみます。うまく言えない部分は言い直します。交通量の多い道や複雑な交差点では中断し、休憩で停車したときに続けるのが無難です。頭の中で課題を抱えると視線が一点に集まり、危険を見つける力が落ちます(実際の交通で12人が走った実験・2003年)。聞き取るだけの課題は影響が小さく、言葉を作り出す課題と込み入った会話は危険が増します。
具体例
翌日のプレゼンの冒頭だけ声に出して練習する、伝えづらい謝罪や相談の切り出し方を試しに言ってみる、といった使い方。電話や同乗者との会話を集めた Caird らの2018年のメタ分析(93本・4,382人)では、どちらも運転成績に中程度の悪影響があり、電話中に車間を空けるなどの補いはわずかでした。ひとりで声に出す練習を測ったものではありません。
出典
- 論文・英語 MacLeod, Gopie, Hourihan, Neary and Ozubko(Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition)(2010) The production effect: delineation of a phenomenon
- 論文・英語 Ozubko, Hourihan and MacLeod(Memory)(2012) Production benefits learning: the production effect endures and improves memory for text
- 論文・英語 Fawcett(Acta Psychologica)(2013) The production effect benefits performance in between-subject designs: a meta-analysis
- 論文・英語 Recarte and Nunes(Journal of Experimental Psychology: Applied)(2003) Mental workload while driving: effects on visual search, discrimination, and decision making
- 論文・英語 Caird, Simmons, Wiley, Johnston and Horrey(Human Factors)(2018) Does Talking on a Cell Phone, With a Passenger, or Dialing Affect Driving Performance? An Updated Systematic Review and Meta-Analysis of Experimental Studies
