車内の過ごし方を決める

話す・聴く・眺めるのうち、何を軸にするかを決める。

車内の過ごし方を決める最初の分かれ道は、話す・聴く・眺めるのどれを軸にするかです。3つを同時に主役にはできないので、出発前に1つを選び、残り2つは隙間を埋める補助として使うと決めておくと、当日の迷いが減ります。

軸を選ぶ手がかりは、同乗者の有無と道の種類です。話す軸は相手がいないと成立せず、哲学的な問いで語り合うや昔話・思い出語りのように、答えを急がない話題を選ぶと長く続きます。ラジオ・同乗者との会話・ハンズフリー電話・音声入力のメールなど8つの車内作業を比べた2015年の研究は、ラジオやオーディオブックの聴取を認知的な負荷が低い作業、同乗者との会話やハンズフリー電話を中程度、音声入力のメール作成を高い作業と位置づけました。会話を軸にするなら、信号の少ない直線区間や渋滞中など、運転側の負担が軽い場面に合わせるのが無難です。

聴く軸は、ひとりでも複数人でも成立します。ラジオを聴くことやポッドキャストを聴くことは、2015年の研究で認知的な負荷が低いと位置づけられた作業で、会話をしなくても移動の時間を埋められます。話す相手がいない移動や、運転側が集中力を使う道では、この軸を主役にすると負担が増えません。渋滞中のように止まっている時間が長い場面では、聴く軸より話す軸の負担が相対的に軽くなります。

眺める軸は、車窓の景色をただ眺めるや田園・里山をゆっくり走るのように、何もせず景色だけを見る過ごし方です。道路脇の景色を調べた50件の研究を整理した2022年のレビューは、景色は心地よくも気を散らしもし、単調な景色は疲労との関連が多く報告されている一方、植生のある景色はその特徴しだいでストレスの低減や危険運転の減少と関係すると述べています。景色の良い区間が続く道を走るときほど、この軸が主役になりやすいです。

やりがちな失敗は、軸を決めずに出発し、信号待ちや渋滞のたびに何をするか選び直すことです。選ぶ手間が積み重なると、会話も音楽も景色も中途半端になります。前の晩までに軸を1つ決めておき、道の種類が変わったら軸ごと切り替える、という2段階で考えると、当日の判断が減ります。選んだ軸は、出発前に同乗者に一言伝えておくと、話しかけるタイミングや音量を合わせやすくなります。

この節に出てくる図鑑の項目

出典