仏殿

塔と堂

時代: 鎌倉

仏殿は、禅宗寺院で本尊を安置する中心の堂で、裳階が付くと外から二重の屋根に見えます。

建物・部材の特徴

禅宗寺院で本尊を安置する中心の堂です。日本建築用語の英語辞典 JAANUS は、裳階の無い三間四方の形、裳階が付く形、裳階を含め五間四方の大きな形の三つに分け、裳階が付けば外からは二重の屋根に見えます。床は板敷ではなく土間で、瓦や磚を斜めに敷いた四半敷が入ります。山口県の功山寺仏殿、山梨県の清白寺仏殿、東京都の正福寺地蔵堂、和歌山県の善福院釈迦堂は四棟が国宝に指定され、鎌倉から室町の禅宗様の堂として残ります。

見分けの決め手

軒を二段に分けて、下の段の出の浅さを確かめます。裳階は本体より軒が浅く、柱も細く立ちます。次に柱間へ目を移すと、柱の上以外にも組物が詰み、花頭窓と桟唐戸が並びます。床が土間であることは外からでも敷居の低さに出て、山梨県の清白寺仏殿では正面の敷居が地面に近い高さにあります。段の数だけを数えると二階建ての堂に見えます。東京都の正福寺地蔵堂も同じ見え方です。

属する様式

禅宗様です。柱の上下を細める粽、柱の下に置く礎盤、柱を貫いて固める貫、放射状に並ぶ扇垂木がひととおりそろいます。このうち三つが同時に見えれば禅宗様と見てよく、柱間まで組物が詰む詰組も同じ組み立ての一部です。山口県の功山寺仏殿は柱の墨書で元応2年(1320年)の柱立と分かり、年代の確かな禅宗様の仏殿では日本最古と県の解説が述べます。和歌山県の善福院釈迦堂、東京都の正福寺地蔵堂も同じ手法で建ちます。

取り違えやすい相手

後ろに建つ法堂と、同じ禅宗様の舎利殿・地蔵堂・釈迦堂が相手です。伽藍の中でどこに建つかを見ます。仏殿は三門の内側の正面に、法堂はその後ろに並びます。堂の名は安置する像で決まるため、形が同じでも呼び名が変わります。東京都の正福寺地蔵堂、和歌山県の善福院釈迦堂、神奈川県の円覚寺舎利殿は、仏殿と同じ形式で別の名を持ちます。黄檗宗の寺には、堂内に禅単という坐禅の台を置いて禅堂を兼ねる仏殿があると、横山秀哉が1964年に報告しました。

立つ位置

斜め前へ回り、二段の軒がずれて重なる位置に立ちます。正面からでは裳階と本体の軒が一本の線に見え、二重か一重かが決まりません。階段の下から見上げると裳階の軒だけが視界を占めます。神奈川県の円覚寺舎利殿のように塀の外からしか見えない堂もあり、その場合は掲示にしたがって見える範囲で見ます。山口県の功山寺仏殿は前庭が広く、下がるほど屋根の反りが分かれて見えます。

出典

  1. 資料・英語 JAANUS(アツミ国際奨学財団が構築、コロンビア大学メディアセンターが運営) butsuden 仏殿(JAANUS 日本建築・美術用語の英語辞典)
  2. 公的機関 文化庁 功山寺仏殿(文化遺産オンライン)
  3. 公的機関 山口県 功山寺仏殿(山口県の文化財)
  4. 論文 横山秀哉(東北大学)(1964) 坐牀を有する禅宗仏殿について