軒下を見上げる
柱の上の組み方と、軒を支える部材に気づく。
屋根の輪郭を確かめたら、次は軒先の下まで歩み寄り、真上を見上げます。まず目に入るのは柱の頭の高さで、そこに頭貫が水平に通り、上に大斗が一つ据わっています。大斗は柱の頭にほぞ穴とほぞで固定されている、とJAANUSは斗の構造を説明しています。大斗の上に肘木が一本渡り、平三斗のように壁の線から前へ出ない組み方であれば、軒の深さは垂木の長さだけで決まります。
同じ柱頭の組物でも、肘木と斗を壁の面から前へ一段出せば出組、三段重ねれば三手先になり、段が増えるほど軒を遠くまで持ち出せます。禅宗様の仏殿では、柱の上に台輪という幅広の板を渡し、その上へ柱の真上だけでなく柱と柱のあいだにも組物を並べる詰組という配置を取ります。台輪が柱間を帯のようにつなぐことで、組物を置ける場所が柱の上に限られなくなり、軒下の組物が切れ目なく連なって見えます。段の数と、柱間に組物があるかどうかの二点を確かめるだけで、軒下の構えのおおよその見当がつきます。
組物よりもさらに上、垂木の並びにも目を移します。地垂木の先に木負を渡し、その上へ飛檐垂木を継ぐ構えは二軒と呼ばれ、奈良時代の海竜王寺西金堂にすでに見られるとJAANUSは記します。垂木の間隔を詰めた繁垂木は寺院や神社に多く、間を広く取る疎垂木は住宅に多いという対も、同じ資料が整理しています。隅では垂木が斜めに寄って隅木に突き付きますが、大仏様の建物では、柱間では平行に並んだ垂木が隅に近づくほど扇状に開いて隅木へ取り付きます。この扇垂木の広がり方は、兵庫県の浄土寺浄土堂で確かめられるとJAANUSは説明しています。
軒下は見上げる角度しだいで段の重なりが潰れて見えるため、柱の真下に立つと出組と三手先の差が読み取りにくくなります。柱の線から一歩下がり、軒の線を横から追うと、組物が前へ出た段数と、垂木が隅へ向かって曲がる線の両方が同時に見えてきます。屋根の形を見分けたら、次はここで組物と垂木の二つを数える癖をつけると、様式や年代を見分ける手がかりが増えていきます。
