双眼鏡

見るための道具

肉眼で潰れて見える空の細部を、粒ごとに分けて見せる道具です。倍率と対物レンズの口径がそのまま名前になっていて、8x42なら8倍・口径42mmを指します。

何が見える・分かる道具か

肉眼では一つの面に見えていたものが、粒の集まりに分かれます。波状雲の並びは、離れて見れば灰色の縞ですが、拡大するとひと粒ずつの丸みと影まで数えられるようになります。幻日も同じで、太陽側が赤、外側へ白い尾という色の並びの順が見分けられます。積雲の縁が氷になってほつれているかどうかも、この距離で初めて判断のつく細部です。ここで扱うのは昼の雲と光象で、夜空へ向ける使い方は別の図鑑の受け持ちになります。

選ぶときに見るところ

表記は倍率×対物レンズの有効径で、8x42なら8倍・口径42mmです。口径÷倍率が射出瞳径で、この場合は5.25mmになり、値が大きいほど像は明るくなります。ただし明るい戸外では瞳孔が縮むため、夜用の大きな口径をそのまま使い切れません。もう一つは実視界で、高積雲の雲片は見かけの幅が1〜5度ですから、実視界6度なら数粒が一度に入る勘定になります。野外に持ち出す道具なので、防水と窒素の充てんの表示も見ておきます。

使うときの注意

太陽本体に向けません。対物レンズが集めた光をそのまま目へ送る道具なので、視野に太陽が入れば一瞬で取り返しがつきません。内暈や幻日を見るときは、先に太陽を建物や電柱の陰へ入れてから覗きます。手持ちでは8倍あたりから像の揺れが目立つので、柱や手すりに肘を当てて固定すると細部が止まります。眼鏡をかけたまま覗くなら、目当てを縮めて距離を取ります。見上げる姿勢が続くと首に負担がかかるため、座って背を預ける形に替えます。

無いときの代わり

カメラの望遠側で撮って、あとから拡大する手が近いところにあります。スマートフォンでも光学ズームの範囲なら波状雲の粒は分かれ、画像として残せば並びの向きや粒の見かけの大きさを後から測れます。揺れが気になるなら三脚に載せます。腕を伸ばした指の幅も物差しになり、指1本がおよそ2度、握りこぶしが約10度です。見かけの幅が1度以下の巻積雲か、1〜5度の高積雲かという境目も、これで分かれます。