風に向かって立ち雲が横に流れると雨
雲の言い伝え
読んでいるのは、風と雲の角度差です。地上の風に体を向けて立ち、頭上の雲がどちら側へ横切っていくかを見る、道具を一つも使わない観天望気の形になっています。
どう言われているか
気象庁 秋田地方気象台は、雲のことわざの欄に「風に向かって立ち、雲が横に流れていくと雨」を挙げています。体の向きと空の流れだけで読むところがこの言い方の要点で、雲の名前を見分けられなくても成り立ちます。雲の姿を手がかりにするさば雲が出ると時化になるのような言い方とは組み立てが違い、読み取るのは形ではなく二つの向きの差のほうです。
空で実際に起きていること
手がかりは、地上の風の向きと、上層の雲が流れる向きの角度差です。地面の近くでは摩擦のために風が等圧線を横切って気圧の低い側へ振れ、上空へ行くほど等圧線に平行な流れへ近づきます。背を風に向けると低気圧の中心が左手側にあるという北半球のボイス・バロットの法則と土台は同じで、角度差の向きが、低気圧の中心が自分のどちら側にあるかを示します。差の大きさは、目印にする雲の高さによって変わります。
どこまで当たるか/どんなときに外れるか
読み取れるのは、地上の風が気圧配置をそのまま映している、見晴らしのよい平らな場所です。外れるのは海風・谷風・ビル風のように、地上の風の向きが地形で決まっている場所で、海岸では日中に海から陸へ吹く風が気圧の配置と関わりなく向きを決め、角度差が地形の分だけずれます。方位磁針で向きを取り、旗や煙のなびきで地上の風を確かめてから立つと、この取り違えを減らせます。
この言い伝えが見ている雲・現象
目印になるのは上層をまとまって流れる雲で、巻雲の筋や巻積雲の粒の並びが使えます。中層まで下げるなら高積雲の畝でも見当がつきます。低いところをちぎれて流れる断片雲は地上の風とほぼ同じ向きに動くため、角度差の目印にはなりません。どの高さの雲を見るかを先に決めてから体の向きを合わせると、日をまたいで比べられる記録になります。