かなとこ雲は恐ろしい

雲の言い伝え

頭が平らな雲は、天井に届いた印です。積乱雲の頂が対流圏界面にぶつかって上へ伸びられなくなり、風下側へ広がった姿で、雷やひょうを伴う雲として警戒されてきました。

どう言われているか

海上保安庁 留萌海上保安部は、全国共通のことわざの欄に「かなとこ雲は恐ろしい」をそのままの形で載せ、雷・ひょう・風を伴うので注意を要すと添えています。名前は鍛冶屋が使う金床から来ており、上が平らに張り出した輪郭をその道具の形に見立てたものです。雲のかたち図鑑ではかなとこ雲として扱う形で、恐ろしいと言い切る言い方はこの図鑑でも数えるほどです。

空で実際に起きていること

積乱雲の頂が、対流圏と成層圏の境目にあたる対流圏界面へ達すると、そこから上は気温が下がらないため上昇する空気が浮力を失い、行き場のなくなった雲は風下へ平らに広がります。気象庁『気象観測の手引き』は雲の状態を分けるとき、CL-9 を雲頂が巻雲状で多くはかなとこ状を呈している積乱雲、CH-3 を積乱雲から生じたかなとこ状の巻雲としており、平らな頭は氷の粒でできた雲にあたります。

どこまで当たるか/どんなときに外れるか

形と成り立ちの対応という点では外れにくく、かなとこが見えている雲は、頂が界面に届くほど育った積乱雲です。頭がまだ丸く盛り上がっている段階は雄大雲と呼ばれ、平らになったかどうかが段階の分かれ目になります。気をつけるのは距離のほうで、頂は高いところにあるぶん遠くからも見えます。頂が見えている状態と、その雲の真下にいる状態は別です。

この言い伝えが見ている雲・現象

向き合っているのは、積乱雲の一生のうち、頂が天井へ押し当てられた段階です。同じ雲に付くアーチ雲や壁雲は底の側の目印で、危険の中身は落雷やひょう、急な突風として地上に出ます。かなとこは雲の頂の広がりなので、真下の様子までは映しません。どこで何が起きているかは、気象庁が出す注意報・警報と実況の情報で確かめるところまでが、この図鑑の受け持ちです。