頭巾雲
飾りと付属雲
高さ: 中層(2〜7km)
伸びる雲の頭にかぶさる、薄い帽子です。WMO 国際雲図帳は「積雲状の雲の頂の上にある、水平方向に小さな帽子か頭巾の形の付属雲」と定義しています。
どう見えるか
つるりとした薄い膜が、盛り上がる雲の頂に笠のように乗ります。輪郭はなめらかで、縁が虹色に色づくことがあります。色づいて見えるときの正体は薄い膜の水滴が光を回折させた彩雲で、色は縁のごく薄い部分に限って出ます。WMO 国際雲図帳は、二枚三枚と重なって観測されることも珍しくないと書いています。下の雲が硬く尖って見えるのに対して、この膜だけは柔らかく透けて見えます。
どこにできるか(高さ・どの雲に付くか)
乗る相手は積雲と積乱雲で、位置は雲頂のすぐ上です。とくに雄大雲のように背を伸ばしている最中の頭に乗ります。膜は下の雲と一緒に上がるため位置は雲頂に付いたままで、雲が伸びるあいだ高さだけが変わっていきます。高さは下の雲がどこまで伸びたかで決まり、日本では気象庁『気象観測の手引き』の中層(2〜7km)にあたるあたりで見かけることが多くなります。
なぜその形になるか
伸びる雲は、自分の真上にある空気の層ごと押し上げます。持ち上げられた層はその場で冷え、層全体が一度に露点へ達して薄い膜になります。もともと湿っていた層ほど小さな持ち上げで凝結するので、膜は雲頂の輪郭に沿った笠の形をとります。押し上げられるのは雲頂の真上だけなので、膜の広がりも下の雲の幅を少し越える程度にとどまります。下の雲が伸び続ければ、数分で飲み込まれて消えます。
似た雲との分け方
似た付属雲のベール雲(velum)とは、広がりの大きさで分けます。WMO 国際雲図帳はベール雲を「水平方向に大きく広がる雲のベールで、一つ以上の積雲状の雲がしばしばそれを突き抜ける」と定義しており、頭巾雲は一つの雲の頂を覆うだけです。レンズ雲とも違い、頭巾雲は下の雲と一緒に上へ動きます。
この雲が出ている空で起きていること
雲頂より上の層が湿っていて、しかも安定していることが分かります。持ち上げられただけで凝結するのは、そこに水蒸気が余っている証拠です。頭巾雲が次々に作られては飲み込まれるなら、下の雲はまだ上へ伸びている最中で、雄大雲から積乱雲へ姿を変えていく途中の空だといえます。逆に膜が一枚もできないまま雲頂だけが伸びる空では、その上の層に凝結するだけの湿りが無いことになります。