ハンドルーペ
近づかずに見る道具
肉眼では点にしか見えないものが、形になります。葉の毛の向き、鋸歯の先に付く小さな腺、葉裏に散る腺点は、10倍に拡げて初めて種を分ける手がかりになります。
何が見えるようになるか
葉の毛は、あるかないかよりも向きと生え方で種が分かれます。肉眼では面がざらつくとしか見えない葉裏を、10倍のレンズは毛の一本ずつの倒れる向きまで見せます。鋸歯の先が腺で終わるか、葉に透ける油点が並ぶかも同じ倍率で決まり、名前を一つに絞る最後の一歩がその場で済みます。見る相手は落ちている葉と手前の枝で足り、植え込みへ顔を差し入れずに確かめられます。
選ぶときに見るところ
倍率は明視の距離250mmをレンズの焦点距離で割った値として表され、京葉光器と池田レンズ工業の解説もこの基準を示しています。10倍なら焦点距離は25mm前後で、対象からレンズまで約3cm、レンズから目まで約2cmという短い距離を取ることになります。10倍前後が視野の広さと扱いやすさの折り合う範囲で、20倍を超えると視野が狭まり手のぶれが像に出ます。写真として残すほうはクリップ式マクロレンズの役目です。
使いかた
レンズを目のそばに固定し、顔ごと対象へ寄せるのが基本です。レンズだけを前へ出すと、ピントの合う面が動き続けて像が定まりません。片手で葉を支え、光を斜めから入れると毛としわに陰影が立ちます。曇りや夕方はLEDハンディライトを横から添えます。のぞくのは足元に落ちた葉と、腕を伸ばさずに届く枝までにとどめ、枝を引き寄せて曲げることはしません。