葉のふちで切る傷

毛とトゲ

気づくのは、赤い線を見たときです。ススキやオギの葉のふちには硬い鋸歯が並び、指を滑らせただけで細く深い傷になります。

どんなことが起きるか

定規で引いたような直線の切り傷が、指の腹や指の間にできます。薄い縁が滑るため切った瞬間の痛みは小さく、血がにじんで初めて気づくことが少なくありません。傷は幅1mmに満たないのに皮下まで達していることがあり、口が閉じにくい形で残ります。縁には土や葉の粉が付いているため、汚れた刃で切った傷として扱います。刈り込みの日には、前腕に細い線が何本も並ぶこともあります。

原因になる植物

相手はイネ科の細長い葉です。河川敷のススキとオギ、土手に広がるチガヤ、道路脇に立つセイバンモロコシが並び、いずれも葉のふちに下向きの小さな鋸歯があります。イネ科はケイ酸を多く吸い、プラントオパールとして細胞にためます。稲作でのケイ酸施用として農研機構や日本土壌肥料学会が扱ってきた性質で、硬いのは毒ではなく、縁にたまったガラス質です。

その場でどうするか

まず流水で洗い、土と葉の粉を流します。傷口が細いぶん汚れが中に押し込まれやすく、洗わずにふさぐと膿むもとになります。出血は清潔なガーゼで5分ほど押さえると多くは止まります。乾かさずに覆い、その日のうちに一度貼り替えて中の様子を見ます。洗ったあとに傷の縁がぱっくり開いたままかを見ておくと、受診の判断に使えます。作業を続けるならニトリル手袋を着け、傷を土に触れさせないようにします。

受診の目安

出血が止まり、翌日に赤みが引いていくなら経過を見ます。押さえても10分以上出血が続く、指先の感覚がにぶい、曲げ伸ばしがしにくいときは、腱や神経まで届いている可能性があるため整形外科にかかります。2〜3日たって赤みと腫れが広がる、熱を持つ、膿が出るのは感染の側です。土の付いた縁で切った傷なので、破傷風の予防接種を最後に受けた時期も医師に伝えます。

起こさないために

草の束を素手で握らないことに尽きます。引き抜こうとして手を滑らせる動きが最も切りやすく、根元をつかんで引くのは同じ形の傷を作ります。夏でもアームカバーと長袖で前腕を覆い、手のひらに革か厚い布のある手袋を選びます。刈り残しに落ちた物を探すときは手を差し入れず、道具でかき分けます。刈った草の後始末は刈った草と剪定枝の始末に沿って進めます。