折れて残るトゲ

毛とトゲ

抜いたつもりで、先だけ残ることがあります。皮膚の中で折れたトゲは見えないまま炎症を起こし、数週間おいてから化膿や小さなしこりになって出てきます。

どんなことが起きるか

刺さった直後の痛みが引いたあと、数日から数週間おいて同じ場所が赤く腫れて押すと痛むようになります。日本皮膚科学会『接触皮膚炎診療ガイドライン2020』の表13は、バラやサボテンの棘を機械的刺激の側に置いています。残った破片のまわりを体が包み込むと、植物性異物肉芽腫と呼ばれる硬いしこりになります。抜けた実感があっても先端だけ残ることがあります。

原因になる植物

街の相手は生垣と空き地に集まります。トキワサンザシの枝先、ノイバラとカラタチの刺、ヒイラギの葉のとげ、サンショウやハリエンジュの皮刺と茎針が並びます。アメリカオニアザミは花の下まで硬い刺で覆われ、薄い軍手を貫いて刺さります。細く硬い刺ほど折れて残りやすく、枯れて茶色くなった枝の刺は見えにくいうえに脆く、地面に落ちたものを踏むことも起こります。

その場でどうするか

刺さった向きに逆らわず、まっすぐ引き抜きます。抜けたら洗って傷口を清潔にします。途中で折れた感触があったら、掘り出そうとしないで受診に回します。黒い点が皮膚に残って見える場合は先が残っている合図です。抜いた刺は捨てずに持っていくと、深さと種類の見当がつきます。土の付いた刺の深い刺し傷は破傷風の入口にもなります。

受診の目安

抜けきらない、痛みが数日たっても続く、赤みと熱を持って腫れるときは受診し、残った破片の摘出を相談します。放っておくと植物性異物肉芽腫としてしこりが残り、年単位で触れると痛むこともあります。傷が数週間治らず、腕にそって小さなしこりが並ぶ場合はスポロトリコーシスの項を見て、皮膚科で真菌の検査を受けます。

起こさないために

刺のある枝へ手を入れない段取りにします。綿の軍手は細い刺を通しますので、生垣の手入れにはニトリル手袋の上へ厚手を重ねるか、革の手袋を使います。枝は手で押さえず、道具で寄せてから切ります。落ちた刺は地面にも残りますので、作業のあとは足元を掃いて、落ちた刺ごと刈った草と剪定枝の始末へまわします。子どもの遊び場に面した生垣では、刺の落ちる範囲まで見ます。